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景気悪化や株安を受けた政府の総合デフレ対策の骨格が17日にもまとめられるが、市場からは早くも失望の声が上がっている。小手先の対策に新味はなく、失業や倒産に備えたセーフティーネット(安全網)も、竹中平蔵金融・経済財政担当相のハードランディング路線で穴が開いてしまいそうな脆弱(ぜいじゃく)なものだ。効果的な処方箋(しょほうせん)がなく、とてもデフレを食い止められそうにない。
総合デフレ対策は、17日の経済財政諮問会議で了承後、30日に正式決定される。
その内容は、(1)中小企業対策や雇用対策など安全網の整備(2)金融緩和や土地・証券税制改正と先行減税(3)産業再生の枠組み整備(4)構造改革特区の実現。(5)の不良債権処理については竹中金融・経財相率いるプロジェクトチームの作業が遅れ、大手銀行への公的資金注入を想定した法整備の検討にとどまるもようだ。
どこかで見かけたものばかりで、大胆な財政出動もインフレ目標設定など、抵抗する日銀側と強調した金融政策の前進もないようだ。
抜本的な対策を出せない最大の理由が「国債30兆円枠」の呪縛(じゅばく)だ。
サラリーマンにとって気になる雇用対策は、リストラされた中高年を採用した企業への助成金の上乗せ、中小企業対策では信用保証協会が連帯保証人を肩代わりする公的信用保証枠の拡大が検討されているが、現行予算の枠内ですでにある政策をマイナーチェンジしたものに過ぎない。
「サラリーマンの最大の不安は会社が潰(つぶ)れたり職を失うこと。給与とボーナスもカットされ、消費は縮み、さらにデフレが進む」とニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの櫨(はじ)浩一氏も雇用対策の重要性を指摘する。
雇用保険制度について「保険料引き上げや支給額減額の動きがある。特に支給額の高い中高年が対象となるが、再就職が難しく不安をあおる結果になる」と批判する。
小泉純一郎首相は補正予算編成を視野に、「12月の状況を見て判断する」、30兆円枠突破も「税収欠陥があった場合は対応せざるを得ない」とするが、首相がメンツを捨て、明確に路線転換しないうちは小手先の対策にとどまりそうだ。
「竹中ショック」の影響も大きいようで、前出の櫨氏は「これまでのデフレへの対応に加え、金融相が竹中氏に代わり、追加的なデフレ対策の必要が出た」と指摘する。 そのうえで「自治体の公共事業が今年度当初見通しから1.5兆円減る見込みで、少なくともこの分は補正予算で穴埋めする必要がある」と財政出動の必要性を説く。
「ダメなところを切り取るという考え方では、日本中で生き残るところがほとんどなくなってしまう」(櫨氏)と非常ベルが鳴り響くなか、小泉−竹中改革路線を推し進めれば、弱い者に痛みを強いるだけの結果に終わりかねない。