★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
戦う大臣が語る金融荒療治〜「大きすぎてつぶせない銀行はない」と言う竹中経済財政・金融担当相の本音(ニューズウィーク日本版2002年10月16日号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 10 月 16 日 15:28:51:

No Bank Is Too Big to Fail
戦う大臣が語る金融荒療治
「大きすぎてつぶせない銀行はない」と言う竹中経済財政・金融担当相の本音

ジョージ・ウェアフリッツ
高山秀子

9月30日に発足した小泉改造内閣で、金融担当相に任命された竹中平蔵。金融危機の到来もささやかれるなか、国の将来を左右する重責を担った竹中経済財政・金融担当相に、本誌ジョージ・ウェアフリッツと高山秀子が聞いた。

――ある金融アナリストは、今回のあなたの人事を「ハイリスク・ハイリターン」と言っている。

リスクとリターンは常に比例する。経済でハイリターンをねらうなら、政府はそれなりのリスクも覚悟すべきだ。その意味では、正しいコメントだと思う。私はリスクを減らしてリターンを増やすべく、最善を尽くすつもりだ。

――どのようなリスクか?

経済用語で言えば、システムを変える過程で生じる「調整コスト」だ。資本や労働力、技術などが別の分野に移るときには、摩擦が生じる。だがその過程で、日本経済の潜在力は増大するはずだ。

――改革派は、一部の大企業を倒産させるべきだとしている。これが、あなたの言うコストなのか。

市場経済では業績の悪い企業は消えていく。その原則は否定しないが、政策立案者の立場で言えば、調整コストを抑えることが重要だ。
業績の悪い企業がなんらかの理由で存続している場合、政府は市場の調整を加速させると同時に、セーフティーネットを用意すべきだ。包括的な政策、つまり、調整を急ぐ一方で(社会的)コストを軽減する政策が必要だ。

――日本の銀行は不良債権について、正直に情報開示しているか。

その問題を検討する政策チームを設置する予定だ。(金融相に)任命された日に、私は三つの重要課題を提示した。
まず、(銀行の)資産をより正確に査定すること。金融庁は非常に厳しい銀行監査を行ってきたが、問題はその際に集めたデータをどう活用するかだ。
二つ目は、銀行の自己資本比率をチェックすること。三つ目は、銀行や金融機関のコーポレートガバナンスを確保することだ。

――99年の銀行への公的資金投入は効果的だったと思うか。

今後のことで頭がいっぱいで、過去を振り返っている暇はない。だが99年の日本経済は危機的で、(銀行への)資金投入が必要なのは明らかだった。
しかし同時に、資産の査定や自己資本比率、コーポレートガバナンスも考慮する必要がある。過去の経験に基づいて、先ほど述べた三つの課題を満たす政策を立てなくてはならない。

――新たな政策は99年のものとはかなり違う形になるのか。

われわれは、いかなるオプションも排除しない。

――韓国は金融危機の際に銀行国有化と経営陣の刷新を行った。日本もそうした対策を取るべきか。

韓国やスウェーデン、アメリカの事例を研究すべきだ。

――金融機関の統廃合の結果、四つのメガバンクが残った。巨大すぎてつぶせないのでは?

巨大銀行にはそれなりの利点がある。事業規模が大きいため、財務基盤を強化できる。
だが「大きすぎてつぶせない」とは思わない。そういう発想がコーポレートガバナンスを危うくし、モラルハザードを引き起こす。

――既得権益とどう戦うつもりか。

私は学術界の出身であり、既得権益をもっていない。この2点は私の強みかもしれない。
日本の将来のために努力しよう。それが、私のメッセージだ。

――日本の一般国民は、日本の金融状況を十分に把握しているか。

一般の人が詳細を理解するのは容易ではない。だが、概要は十分に把握していると確信している。
多くの「タウンミーティング」に参加して、正直なところ驚き、感心した。人々は経済や社会の問題についてしっかりとした考えをもっている。私は日本人の意欲と能力を信じている。

――株価の下落を政府の無策の表れだと言う専門家もいれば、痛みを伴う改革が始まるからとする見方もある。市場をどう読むべきか。

政府が何もしなくても、逆に抜本的な政策を取っても、「だから株価が下がった」と言われる。市場とはそういうものだ。だが長期的には、市場は正しい答えを探そうとしている。
スウェーデンがいい例だ。90年代前半、政府は(銀行に)公的資金を注入した。正しい措置だったが、株価は下がり続けた。さらに資金を注入しても、株価はなお下落した。ようやく株価が反発しはじめたのは1年後だ。
株価の変動は忍耐強く見守る必要がある。政府が正しい措置を取れば、市場は評価するはずだ。

――日本では、市場と金融庁の見解にズレがある。金融庁が銀行や企業を健全だと判断しても、不良債権への懸念から株価は低迷する。両者の見解をどう調整するか。

金融庁の銀行監査は、それなりにきちんとしている。だがご指摘のように、市場と金融当局には認識のギャップがある。私の仕事はそのギャップを小さくすることだ。

――日本銀行は9月、銀行保有株の買い取りを決断した。

率直に言って、最初は驚いた。(だが)日本の金融機関がいかに重症かを政府に伝える重要なサインだったといえる。政府は今こそ断固たる措置を取るべきだというメッセージだ。それに応えるのが、私の仕事だ。

――専門家は、あなたが半年以内に結果を出すべきだとしているが。

何によって結果を測るのか。GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)の伸びか、それとも株価か。
結果が経済指標に表れるには時間がかかる。ただし政府としては、断固たる姿勢で問題解決にあたっていることを市場に示すべきだ。市場が前向きに反応することを期待している。

――もし大手銀行が金融庁に抵抗して自行の保有債権は健全だと主張したら、どう対応するか?

それは抵抗ではなく、銀行の公式見解だ。銀行のトップが自ら「うちの銀行は危ない」などと言うはずがない。
政府としては、金融制度を変革することが銀行にもメリットになると示さなければならない。今後も銀行と協議を続けていく。

 次へ  前へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。