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(回答先: Re: 比較優位の概念くらいお勉強しましょう。 投稿者 菩薩 日時 2002 年 10 月 13 日 22:13:45)
示唆に富んだご質問に対して、自分で理解できうる範囲で真摯にお答えしたい。
>なぜポルトガルは没落したのか
これは、比較優位だけで答えられる問題だけではない。何故なら、国力の没落はまったく異なる様々な問題で形成されているからだ。反対に言えば通貨価値が極めて高く、生活水準の高い国々がすべて衰退しているかと言えば、北欧諸国を見ればわかる。かってバブルで銀行すべてが国有化されたスェーデンを見ればよくわかる。
実際、日本の現状も、一見すると経済全体の不調のようでありながら、実は金融政策の迷走・失敗が根本的な原因であり、それは、稚拙な日銀の金融政策の結果である。これはさらに本質的な原因として「日銀」という特殊な官僚機構が、国益ではなく省益を優先するという、行政機構の構造問題であるかもしれないと考えることもできる。
現在議論されている道路公団の体質についても、ファミリー企業が享受しているレントシーキングは莫大なものであることが猪瀬の研究で認識された。これは明らかに官僚機構に省益優先引いては「個人の利得権益最優先」な体質が存在し、それが当たり前のように横行している現実をさらした。だが、未だ日銀の体質及び銀行への圧力や天下りについては、まったく解明されていない。今回の株式買い取りに関しても、世界の中央銀行から、大変な非難を浴びているが、この奇策が果たして、国益にかなうことなのか、これまでの護送船団方式の延長線である、天下り先の金融機関を確保するためのものであるのか、はっきりと観察し続ける必要があるだろう。
>比較優位と完全雇用の関係について
>比較優位と変動相場制の関係について
>比較優位と金融業の関係について
変動相場制の元でも比較優位が充分働くのか、ということを言いたいのだと思われるが、実際、固定レートより変動相場制の元でこそ比較優位の概念は重要なのである。
「各国の同一産業における絶対的な生産性=実質生産コストの格差は、必ずしもそれぞれの国の生産及び輸出の妨げにはならない。」これこそが、比較優位の本質だからである。(野口旭「構造改革の誤解」より)
>金融業の優劣はどのように決定されるか
>バブル(短期的な収益性の向上とその必然的な崩壊)の与える影響
この質問対しては、バブルの発生と比較優位の関係をそちらからはっきりと提示していただかないと質問への回答のしようがない。
>金融自由化で、金融政策は有効か?
有効である。日銀の失政による不十分な金融緩和の繰り返しがそのような誤解を招いている。「ファイナンシャル・アクセルレーター」の理論を学ばれると良いであろう。
http://matari.ichigobbs.com/cgi/readres.cgi?bo=economy&vi=0545
以下の質問に対しても、同様のものであると考える。では、失礼。
>自由貿易と一国内資本主義(統一通貨)の違いについて
>何が異なるか?
>最適通貨圏は結果として生じるのか
>誘導は可能か