現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
竹中平蔵金融・経済財政担当相(51)が作った不良債権処理プロジェクトチームの目玉として脚光を浴びる日銀OBの金融コンサルティング会社社長、木村剛(たけし)氏(40)。オールバックに鋭い目つきに、いったい何者?と思った人も多いのでは。“改革急進派”から“小泉純一郎首相の指南役”、“外資の手先”とまで評される毀誉褒貶(きよほうへん)の人物像や言動を検証すると、意外な素顔が浮かび上がった。
◆パフォーマー
木村氏は富山県出身。高校時代にはサッカー部で3年連続全国大会に出場しており、ゴン中山タイプのセンターフォワードだった。
東大経済学部から昭和60年に日銀に入行。営業局、企画局などを歴任した木村氏を「日銀で最も賢い3人のうちの1人だった」と営業局当時の同僚、民主党の大塚耕平参院議員は振り返る。
「いち早く、『資産再評価を導入し不良債権処理の原資にすべき』と主張するなど先を読む能力があったが理解されなかった。早すぎた天才」
別の日銀マンは「パフォーマーという印象。BIS規制の担当で銀行との付き合いも多かったが、堅い人が多いなか、木村氏はどうやれば規制に合致できるか積極的にアドバイスしていた」。
仕事以外でも型破りで、「酒が強く、カラオケは長渕剛が十八番。ギターも得意で結婚式で夫婦でオリジナル曲を披露した」(元同僚)。
元同僚はこうも証言する。オールバックの髪形は「金融機関にナメられないようにするために始めた」という。
その風ぼうから、永田町では、「旧大蔵省OBの浜田卓二郎参院議員にソックリ。一時、息子かというウワサも流れた」という。
織田信長と坂本竜馬から取ったという「織(お)坂(ざか)濠(ごう)」のペンネームでの文筆活動や、マスコミと組んで資産再評価の特集記事を掲載したりしたが、「個人プレーを嫌う日銀にニラまれていた」。
◆30社リスト
平成10年に日銀を退職した木村氏は、世界有数の会計グループKPMGのニューヨーク本部に単身乗り込んで交渉し、KPMGフィナンシャル(KFi)を設立した。
金融機関が主要な顧客。当局の検査や行政処分に対応するアドバイスや「模擬検査」の実施、リスク管理、資産運用などが柱だった。
「実は日銀や銀行にやさしい。不良債権も企業側の責任が大きいと考えている」(金融関係者)との声もある。
木村氏の名を一躍有名にしたのが「30社リスト問題」である。
元は自民党の勉強会で木村氏が使った資料の一部だが、木村氏が首相官邸で小泉首相に不良債権処理を直言したことから「危ない30社」として株が売り込まれた。
経済小説『通貨が堕落する日』など経済関連のベストセラーを次々に執筆している。
「財政破綻で国債が暴落、金利が上昇してハイパーインフレが起きて、円が暴落する」という「キャピタルフライト(資本逃避)説」を主張する。
だが、『経済学を知らないエコノミストたち』の著者でもある専修大経済学部教授、野口旭氏は「人々を脅かすハルマゲドン的経済論だ」と前置きして、木村氏の持論に真っ向から批判する。
「変動相場制のもとで通貨暴落が予期されるのなら、現時点で売られていないとおかしい。金利も上がらないから困っているぐらい。マクロ経済についてはことごとく間違っている」
◆スケープゴート?
「金融職人」「政策屋」を名乗る木村氏は、ついに政策に携わることになった。ハードランディング型の不良債権処理の持論を列挙すると−。
(1)大手30社への引き当てを厳正化する。
(2)過小資本銀行に監督官を常駐させる。
(3)銀行の頭取は辞任させ、不良債権をディスクローズして損失を「旧勘定」に分離して、公的資金を注入する。
(4)多くの貸出先が整理・統合され、デフレが強まって失業者が増えるため、RCC(整理回収機構)を活用した企業再編・再生を目指す。
(5)転職者と雇用拡大企業に財政支援を行う。
ザッとこうだが、木村氏も不良債権処理による倒産、失業、デフレの加速を認めているのだ。
前出の野口氏は「本来はインフレ目標の設定や、財政出動を最初にやるべき。デフレの中では、不良債権を処理しても増えるだけで、景気はドンドンと落ち込むしかない」と警告する。
竹中金融・経財相もインフレ目標を視野に入れるが、木村氏は強硬な反対派で知られる。
となると、「小泉首相は竹中学者大臣に、竹中氏は木村氏に責任を押し付けるのは確実。木村氏は大きなリスクを背負ったことになる」(前出の日銀マン)。
「外野にいるうちは好きなことが言えるが、当事者になればそうはいかない。木村氏をあえて取り込んだ金融庁の方が一枚上」(金融筋)との指摘もある。
我々国民に「お手並み拝見」の余裕はない。景気をさらに悪化させることだけはしないよう願うのみである。