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年間4000件の腎臓移植が行われているインドで、臓器提供者のほぼ全員が、借金を返すために臓器を提供していることがわかった。腎バンク制度が整備されていないインドでは、移植される腎臓はすべて、生きている人が提供したもの(生体腎)。金銭目的の臓器提供(臓器売買)は1994年に法律で禁止されており、「病に苦しんでいる人を助けたい」という篤志での行為だと説明されてきたが、どうやらそれは表向きに過ぎなかったようだ。調査結果は、米国医師会の学術誌であるJournal of American Medical Association(JAMA)誌に掲載された。
調査を行ったのは、Pennsylvania州立大学Geisinger健康システムのMadhav Goyal氏ら。腎臓提供者の名前はカルテなどに残らない形になっているため、Goyal氏らは現地で聞きこみ調査を実施。腹部の傷跡などで腎臓提供を行ったことが特定できた305人に面談し、腎臓を提供した理由や、謝礼としていくら受け取ったか、腎臓提供後に健康状態が変わったかなどを尋ねた。
その結果、腎臓提供者の実に96%が、提供理由は「借金を返すためだった」と回答。95%の人は、「腎臓病に苦しんでいる人を助けたいとの気持ちは、腎臓を提供することを決めた主な理由ではない」と答えた。回答者の平均年収は420ドル(日本円で約5万2000円)で、7割が貧困層に属する。腎臓の提供により手に入れた謝礼額は平均1070ドル(約13万2000円)だった。
また、腎臓を提供した後、健康状態が悪くなった人は全体の9割を占めた。50%の人は「手術跡がいつまでも痛む」、33%の人は「長い間背中が痛む」と答えた。これから腎臓を提供する人へのアドバイスはあるかとの質問に対し、回答者の79%は「腎臓の提供は勧められない」と答えた。
日本の生体腎移植の場合、提供者は移植を受ける人の近親者に限られているが、インドではほとんどが血縁関係のない他人。移植を受ける側が外国人であることも少なくないという。「提供は篤志によるもので、二つある腎臓の片方を提供するだけだから健康にも悪影響はない」との建前が崩れた以上、今後は“買う”側の倫理が鋭く問われることになりそうだ。