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【サンパウロ=窪田淳】カルドゾ大統領の任期満了に伴うブラジル大統領選挙が六日行われ、開票作業が始まった。左派の野党労働党のルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ名誉党首(56)の首位は確実だが、当選に必要な過半数に得票が届かず二十七日実施の決選投票にもつれ込む見通しが強まっている。現政権の経済政策に批判的なルラ氏が二位以下に大差をつけたことで、金融市場に再び動揺が広がる可能性もある。
選挙管理当局である選挙高等裁判所の開票率七八%時点の集計によると、ルラ氏の得票率は四七%。与党ブラジル社会民主党のジョゼ・セラ前保健相(60)が二四%、野党ブラジル社会党のアントニー・ガロチニョ前リオデジャネイロ州知事(42)が一七%で続いている。
選挙では全面導入した電子投票システムの故障が続発、約四十万台の端末のうち五千二百台で不調が起きた。操作に手間取る有権者も多く、一部で投票時間を延長、集計作業にも遅れが出た。
労組出身のルラ氏は今回が四度目の出馬。経済自由化の反動で貧富の格差を拡大させた現政権を批判し、貧困撲滅や雇用創出を訴えてきた。副大統領候補に企業家を据え、経済界からも一定の支持を得た。与党候補のセラ氏は高インフレを抑制した現政権の功績を訴えたが、変革を求める有権者は反発した。
得票が有効票の過半数に達する候補者がいない場合、上位二候補が二十七日の決選投票に進む。
ブラジルの今年の経済成長率は九年連続のプラス成長を確保する見通し。インフレ率も国際通貨基金(IMF)との合意範囲である四%前後を維持しているが、多額の対外債務を抱えている。ルラ氏が過去にIMFをたびたび批判してきたこともあり、選挙期間中、ルラ氏優勢を受けて金融市場は動揺。通貨レアルの対ドル相場は先月二十七日に一ドル=三・八八レアルと過去最安値を更新、年初からの下落率も四〇%を超えた。
ブラジルは八月、IMFから約三百億ドルの追加金融支援を受けることで合意したばかり。IMFは支援条件として二〇〇三年の財政黒字を国内総生産(GDP)の三・七五%以上に保つことを求めている。ルラ氏は対外債務の返済凍結などかつての急進的政策を修正し、IMFとの協定も守ると表明しているものの、財政面などでどのような経済政策を取るか未知数。多額の債務を抱える同国のかじ取りは、経済危機下のアルゼンチンなど周辺国に加え、米国経済にも影響を与えるため国際金融界の関心は高い。