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政府が6日、銀行への公的資金の強制投入という「非常事態対応」の検討に入った背景には、金融システムに対する強い危機感がある。小泉純一郎首相の「04年度までに不良債権処理を終結させる」との大方針を実現するため、金融の綱渡り状態が続くことは確実で、ありとあらゆる対策の検討が不可欠だ。柳沢伯夫金融担当相の更迭と竹中平蔵経済財政担当相の金融担当兼務による金融行政の転換は、さらに一歩踏み込んだ。
公的資金の強制投入は経営という私権や株主権を侵害する、という意味で政府にとって「究極の選択」だが、こうした政策まで検討せざるを得ないところに、現在の日本の経済が置かれた厳しい状況がある。
昨秋からの金融庁の特別検査で、大手行は7兆円余の不良債権を処理した。しかし、市場からは「銀行の体力の範囲内でしかない」との批判が根強い。特にゼネコン(総合建設会社)など問題業種が銀行から債権放棄を受けても、業界の供給過剰は変わらず、安売り横行の経営環境は何ら変わっていない。
主力行も、デフレで不良債権が増え、「問題企業への融資残高が増える悪循環」(大手行役員)に陥っている。資本の状況も危機的だ。大手行は今年3月期決算で過去最大の35兆円のリスク資産を削減した。自己資本比率は10%以上あるというが、「資産の削減がなければ9%前半」(大手行幹部)とみられる。
株価下落による企業や消費意識の低下に加え、米国経済の先行きも不安だ。公的資金を投入しても不良債権の「増殖」がとまる保証はない。さらに、総合的なデフレ対策を並行して進める必要がある。 【クアラルンプール藤好陽太郎】