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早くも第2の催促相場?――日経金融新聞 スクランブル
株式市場は冷淡だ。政府・与党がすったもんだの末、どうにかまとめ上げた総合デフレ対策への評価は、日経平均株価が前日比116円11銭安。31日は一時、下落幅が200円近くに広がり、10日に付けた終値ベースのバブル後最安値(8439円62銭)まで150円足らずの水準に下げる場面もあった。
「それでも11月相場は反発するのでは」。さえない地合いを目の当たりにした市場関係者は、ケイ線分析の経験則に望みを託していた。10月末の日経平均が月初値を下回り、5カ月連続で「陰線」を引いたからだ。
戦後の市場再開後、5カ月以上の連続陰線は今回を除き五回ある。だが6カ月連続となると、「朝鮮戦争特需」の反動と引き締め政策で相場が低迷した1953年10月―54年3月の一回しかない。
しかし内外の市場環境を見渡すと、11月から12月にかけては懸念材料が山積している。まず海外。一時、市場の懸念要因だった米国のイラク攻撃問題はこのところ落ち着いている。しかし、これは米共和党政権が11月5日の中間選挙への対応を最優先しているためだ。選挙が終われば、「イラク攻撃の可能性が再び高まる」(大和総研投資戦略部の成瀬順也次長)。対イラク戦が短期間で終結すれば、不透明要因が消えるため株価にはプラスだ。だが長期化すればするほど、テロ懸念による消費低迷や原油値上がりが米景気に悪影響を及ぼす恐れが大きい。急落から立ち直ったかに見える米ハイテク株も不安定感が残る。9月の半導体製造装置のBBレシオが7カ月ぶりに一を割るなど、収益環境は依然として厳しい。「11月から12月にかけてクリスマス商戦への期待がはげ落ち、ハイテク株は再び下落する可能性が高い」。大和総研の成瀬氏はこう警戒する。国内では、一段の景気悪化が最大の懸念要因だ。すでに債券市場では景気低迷とデフレの長期化を織り込み始め、31日には新発10年物国債の利回りが1%を割った。
ある株式テクニカルアナリストは「10年債以上に、5年物国債の利回り急低下(相場は急騰)が気になる」と指摘する。機関投資家の資金流入が活発で、株価下落の先行指標となるケースが増えているためだ。8月29日、5年債利回りは当時の過去最低水準である0.275%に低下。約1カ月後に日経平均はバブル後最安値を付けている。31日の市場で、5年債利回りは0.255%と過去最低を更新した。「ここ2カ月固めてきた金利の下限を下回った意味は大きい」。同アナリストは株価が追随して下げる可能性が高いとみる。景気悪化とデフレに歯止めがかからなければ、もう一つの懸念である銀行の経営問題はくすぶり続ける。
総合デフレ対策では、産業再生機構(仮称)が原則として非メーンバンクから不良債権を買い取るとしており、メーンバンクの責任はむしろ増す。「銀行は財政出動を渋る政府から安全網の役割を押しつけられた格好。デフレ進行の下では、収益性や資産内容が悪化しかねない」。クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の銀行アナリスト、小原由紀子氏はこう語る。同氏は短期的には銀行株が売られるリスクは小さいとみるが、金融安定化策の詳細が固まるにつれ、銀行経営への懸念が再燃しない保証はない。タイミングの悪いことに、11月下旬には、日経平均が年初来高値を付けた5月当時の信用買いの決済期日が到来するうえ、年明けの証券税制変更を前に個人の株離れが表面化する可能性もある。補正予算が論議される見通しの通常国会まで約2カ月の政策の空白期間。デフレ対策に失望した市場は早くも新たな催促相場に入ろうとしている。(木村貴)
l 株、信用不安への懸念も・新光の瀬川氏――8500円割れ意識
瀬川剛・新光証券エクイティストラテジスト 月足ケイ線で過去例の少ない5カ月連続で陰線となった後とあって、11月は陽線を描くと期待する声が多い。ただ、その月初めとなるきょうの株式相場は軟調となりそうだ。
前日(10月31日)は月末特有の買い支え期待で日経平均株価は100円程度の下げ幅でとどまった。30日発表の総合デフレ対策は問題を先送りする従来の進め方に変化が見えず、徐々に失望感が鮮明になりそうだ。税効果会計の厳格化に対応して銀行の資産圧縮の動きも徐々に強まっていくだろう。
10月30日にニツセキハ、前日にはフーズネットと相次いで上場企業が破たんした。特にフーズネットは直前の株価が1000円と、破たんをまったく意識していないような水準だっただけに投資家への影響が大きい。金融機関が相次いで破たんした1997年11月の3連休が思い起
こされ、信用不安が高まる懸念がある。米雇用統計の発表を日本時間の今晩に控えて見送りムードもあり、日経平均株価は8500円割れの場面もありそうだ。
クイックより