現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
特殊法人・阪神高速道路公団(大阪市中央区)の歴代OB約300人が、受注関係のある企業や公団のファミリー企業に天下っていることが31日、毎日新聞が入手したOBの再就職先などを記した名簿で分かった。天下りOBは名簿記載の全OBの半数を超え、過半数が公団発注工事の指名業者に在籍している。同公団と受注関係にある企業への大量天下りの実態が判明したのは初めてで、入札の公正さが疑われる事態と言える。
入手したのは、公団OBの大半が所属する親ぼく組織「銀杏(いちょう)会」の名簿(01年10月現在)。歴代OB約570人の名前や再就職先が記載されており、毎日新聞が追跡調査したところ、天下りは約300人に上った。さらに、うち約170人が、公団発注工事の指名業者である建設会社や建設コンサルタント会社などに在籍していた。
銀杏会には、高齢で完全に引退しているOBも多数含まれていることを考慮すると、活動しているOBの半数前後が受注先に在籍しているとみられる。
東京に本社のある大手ゼネコンには元理事が関西支店顧問に、元部長が同支店営業部長にそれぞれ天下り。公団発注の工事の入札に度々参加している大阪市の建設会社には、副社長として元部長が、顧問として元工事事務所長が再就職している。
関係者によると、公団OBの天下り先は、実務のトップである審議役が調整しているという。
国家公務員は、退職後2年間は直前の5年間に担当した業務と関係が深い企業に再就職することを禁じられているが、阪神高速道路公団など特殊法人にはこの規制はない。同公団は「再就職は基本的にプライバシーの問題で把握していない」としている。
情報公開進めよ
「官僚天下り白書」などの著書がある評論家、堤和馬さんの話 特殊法人の天下りは、業者指名や工事受注の取引材料となり、公正であるべき入札に影響を与えてきた。こうした事態は規制がないから起きる。天下りについて情報公開を進め、国家公務員同様に規制すべきだ。
阪神高速道路公団
国などによって1962年に設立。大阪府、兵庫県、京都府内で高速道路の建設、管理を行う。神戸線、湾岸線などの営業キロ数は計221.2キロ。職員数は872人。毎年約30人が退職する。
「天下りと引き換えに5億円」――。31日明らかになった特殊法人・阪神高速道路公団(大阪市中央区)OBの受注先企業への野放図な天下り。あるOBは毎日新聞の取材に、「建設会社への再就職の際、公団からの5億円分の工事の受注を約束した」と証言する。指名業者が偏るなど、同公団の不自然な入札は業界では有名。天下りの実態と表裏一体だ。
OBは「職員の退職時の“格”によって、天下り先の会社の規模も決まる。その格に合わせて、発注額が決まるのが実態だ」と語った。このOBは上位クラスという。
証言などによると、公団は、天下りを受け入れた企業に指名などで便宜を図り、一定の受注を確保できるよう配慮するという。また、談合に応じそうにない業者を指名から外してもらうなど、人脈を利用して現役公団職員に働きかけたり、工事内容から予定価格を予測するなど経験と知識を生かすケースもある。このOBも、こうした“努力”で5億円の受注ノルマを達成したという。
OBを受け入れる側も同様の証言をする。ある業者は「公団在籍時の給料を保証してやれば、数億円の工事をもらえるというのが業界内の常識だ」と打ち明ける。一方、別の会社の営業担当者は「公団の工事を落札するのは、いくつかの特定業者に偏っている。ウチはOBを受け入れておらず、指名されても落札できる可能性はほとんどない」と話す。
毎年秋、大阪市内の中華レストランで、OBの親ぼく組織「銀杏(いちょう)会」の総会が開かれる。現役幹部も呼んで親交を深める。銀杏会の幹部と現役幹部は、総会後に連れ立って高級料亭に繰り出すのが慣例という。
天下りへの厳しい世論の中、一部で銀杏会の解散論も出たが、結局、今年も11月末に総会が開かれる。 【麻生幸次郎、鵜塚健】