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☆株価にはあんまり効かなそう
政府は３０日、不良債権処理加速策や雇用、中小企業対策などのセーフティーネット（安全網）整備を柱とする総合デフレ対策「改革加速のための総合対応策」を決定した。焦点の不良債権処理策では銀行の資産査定を厳格化する方針などを示したが、自己資本算定のルールを厳しくする税効果会計の見直しは導入時期を明示せず先送りするなど竹中金融相の原案からは後退した内容になった。デフレ対策では、不良債権処理と産業再生を一体的に進める「産業再生機構」（仮称）の創設などを盛り込んだ。
日銀も同日の政策決定会合でいっそうの金融緩和を決定した。
総合デフレ対策は、（１）金融・産業の再生（２）経済活性化に向けた構造改革の加速策（３）セーフティーネットの拡充－－の３本柱。
不良債権処理の加速策は、金融・産業再生の一部として盛りこまれた。０４年度内に主要行の不良債権比率を現在の「半分程度に低下」させる方針を明記。具体的な加速策として、将来の現金収支予測から現在価値を算定する「ディスカウント・キャッシュ・フロー（ＤＣＦ）」（割引現在価値）の導入など、資産査定を厳格化する方針を示した。
これにより、銀行側は貸し倒れ引当金の積み増しを迫られる。金融危機の恐れが生じれば、日銀による特別融資や公的資金注入など「特別支援」の対象になる。注入を受けた銀行の債権は正常先の「新勘定」と、不良債権の「再生勘定」とに分けて管理。予防的な公的資金注入を可能にする新法制定を検討する方針や、不良債権の無税償却の導入など税制面から不良債権処理がしやすい環境整備を検討することも盛りこんだ。
しかし、国有化を視野に入れた優先株の普通株転換は「経営の大幅な悪化」などの条件がつけられ、公的資金を注入された銀行の経営陣の責任問題も「責任の明確化を厳しく求める」との表現にとどまった。税効果会計の見直しも「算入上限について速やかに検討する」として、実施時期が明記されなかった。与党や銀行界の反発などで、竹中金融相の原案は修正を余儀なくされた形だ。
ただ、政府は不良債権処理を具体化する作業工程表を１１月をめどに策定する予定で、不良債権処理は一定程度進むとみられている。
一方、産業再生では、不良債権を買い取る整理回収機構（ＲＣＣ）に加え、新たに融資機能を持ち再建可能な企業の再生を後押しする「産業再生機構」を預金保険機構の下に創設するとともに、「産業再生・雇用対策戦略本部」を設け、産業再編や企業の早期再生について「基本指針」を策定する方向を示した。
経済活性化策では、法人税、相続税、贈与税などの見直しや、資産デフレに歯止めをかけるための証券税制や土地税制の見直しを明記。セーフティーネット拡充で、政策金融の活用や信用保証の拡充による中小企業支援や離職者支援の充実などを掲げた。
ただ、与党側が強く求めていた０２年度補正予算編成については、「今後の税収動向を踏まえて、必要な措置について検討する。金融・経済情勢に応じて、大胆かつ柔軟な政策運営を行う」との表現にとどまった。 (22:54)
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