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政府は4日、資産査定を厳格化する新基準を導入し、大手行を対象に再度の特別検査を行う方向で検討に入った。新基準は、融資先の企業の将来性をチェックする内容にし、とくに大口問題企業の再建計画の実現性を厳しく問う方針。銀行は引当金の大幅な積み増しが必要になる見込みで、結果的に自己資本が目減りし、公的資金投入につながる可能性もある。
これまで、銀行は融資先企業の借入金の返済状況や財務状況ごとに債務者を分類、それぞれについて過去の倒産確率に基づく引当金を積んできた。しかし、経済実態の変化を的確に反映できず、処理しても処理しても新たな不良債権が増える状況が続いていた。
このため、金融庁は株式市場などの評価を含めて、融資先企業を査定する手法が不可欠と判断。融資先企業の将来の収益予想から、引当金を決める「割引現在価値」(ディスカウント・キャッシュフロー)を導入する方向で検討している。
米国は融資先企業の将来リスクを把握するため、収益の予想から借入金の返済可能額を計算する手法を採用しており、米国方式を新基準の参考にしたい考えだ。
大手行は現在、赤字で借入金の元利返済が滞っている企業向け融資(要管理先債権)について、無担保部分の20%程度を引当金として積んでいるが、新基準を導入すれば引当率が30%以上になるとみられる。要管理先債権には、銀行から債権放棄を受けた一部ゼネコン、流通など大口問題企業が多く、再建計画の実現性を厳しくチェックされることになる。
政府は、新基準によって査定を厳格化するため、来年3月末に向けて大手行に対して改めて特別検査を行う方向で検討している。昨年10月末から今年3月にかけて特別検査を実施したのをきっかけに、準大手ゼネコンなどが破たんに追い込まれた。しかし、融資先企業の返済可能性などを重点的に点検する従来の検査手法で、将来の収益などが考慮されていなかったため、市場の評価との溝を埋め切れず、「問題の先送り」と指摘されていた。