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☆つよし君はまっとうかな?
第19回「『真っ当な銀行』を生かすためにこそ『普通でない銀行』を摘出する」
(KFi〔KPMGフィナンシャル〕代表 木村 剛氏)
最終更新日時: 2002/10/28
先日、ある銀行の不良債権処理に関する告発をご紹介し、同様の実態をお知りの方に情報提供をお願いしたら、すぐに、次のようなメールが届いた。
「木村様、NIKKEI NETのBizPlusの第18回「銀行の不良債権処理は真っ当なのか?」に記載された貴殿の質問につき、既に答えはご案内かとは思いますが、長年にわたり不良債権処理に携わって来た者としてメールします。」
この実務家は、○○○○銀行の不良債権専門部を皮切りに、△△△△不良債権処理コンサルティング会社に転職、そして現在は、□□□□外資系投資銀行に在籍しているのだが、彼はこう断言している。
「本件問題の担保不動産の不当に高い評価は債権者の内部では公然かつ当然のこととして未だに行われていると思います。」
プロフェッショナルである彼の言い分を聞こう。
「私が勤めていた○○○○銀行では、MOF・日銀の査定および自己査定における不良債権分類の回避および粉飾決算のために融資担当者に対して担保不動産の評価の不当な増額を本部であった事業推進部が指示し、私はそれに従事していました。また、不良債権売買ビジネスが始まってからは、転職先の△△△△会社で不良債権処理のアドバイザーをし、現職においても不動産担保付不良債権のプライシングをしている経験から言えることが一つあります。それは、売り手である銀行が作成した担保物件評価額は投資家として厳密なデューデリジェンスをした上での担保物件評価額よりも通常20〜30%、ひどい場合には50%以上も高いことが普通であると言うことです。ここに所謂「買い叩き」と言われる原因があると思います。投資家側の評価額の方が高くなることもありますが、それは売り手側の評価が競売の最低売却価額であったり、下手な任意売却交渉に基づくものであったりする場合だけです。」
仮に、これが事実であるとすれば、わが国の銀行における不良債権の処理に対する疑義は深まらざるを得ない。もっとも、そういう銀行ばかりではないことも付け加えて置かねば、フェアとは言えまい。実際、以下のようなメールもいただいた。
「あまりにひどい銀行の例をこのような場に公表すると、すべての銀行がこのような処理をしていると一般人は思われてしまいます。われわれの銀行は、担保の査定を土地6掛、建物5掛を基本として、自己査定を実施しており、破綻先に至っては、バルクすることを前提に3掛で査定しています。掛け目の差こそあれ、普通の銀行は、厳格な自己査定を実施していると信じています。普通でない銀行もあるかもしれませんが・・・」
「異常な銀行を前提とした議論はつつしんでいただきたい。あるいは、そのような前提付での議論をしてください。まっとうな銀行さえ、悪者にされてしまいます。よろしくお願いします。」
御指摘通りである。実際、このような銀行があることも事実だろう。銀行を一括りにして、「みな悪い」というのも乱暴だ。私の願いも、真っ当な銀行が真っ当に評価されるフィールドを作るべきだーーという一点に尽きる。しかし、そのためにも、もし万が一にも「普通でない銀行」が存在するとしたならば、その実態を知らなければならない。それが、「真っ当な銀行」に対して敬意を払うための必要な知識だからだ。