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製鉄の現場で就労中の死亡事故が多発し、経済産業省が日本鉄鋼連盟(会長・千速晃新日本製鉄社長)に対し、保安面の強化を求める異例の注意文書を出したことが明らかになった。今年に入っての死者は20人にのぼる。製鉄業界では企業再編と急激な合理化が進む一方、今年に入って中国・韓国向け輸出が拡大し、各社ともフル操業となっていることが事故多発の背景にあるとみられる。
日本鉄鋼産業労働組合連合会(鉄鋼労連)のまとめでは、死亡事故は19件で20人。2カ月余りを残し、すでに01年と00年の年間発生件数を上回っている。大手の製鉄所内での事故が目立つという。炉が割れて溶けた鉄がこぼれ出す、石炭コンベヤーが燃えるなどの重大事故も発生している。
中でも川崎製鉄千葉製鉄所(千葉市中央区)では、6月にステンレス再加工工場の精錬炉を点検していた61歳と48歳の従業員がやけどで死亡。7月にはコークス炉で発生した一酸化炭素がガス管から漏れ、下請け従業員4人が病院に運び込まれた。9月には作業経験32年の従業員(52)が、転炉わきの金属製の扉に頭を挟まれ死亡した。
製鉄業では、NKKと川崎製鉄の統合によるJFEの誕生に見られるように、競争力回復に向けて再編機運が高まっているほか、デフレ下で巨額の有利子負債を抱えた脆弱(ぜいじゃく)な財務体質改善のため、大規模な生産設備の削減を実行中だ。
人員削減も急で、大手5社の連結ベースの従業員数は01年3月末に18万9382人だったのが、02年3月末には16万4367人まで減った。その一方で、今年に入っての操業状態が、従業員への負荷を大きくしているとみられる。
(06:40)