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特集 攻撃されたUFJ、みずほ
「問題企業」以外にも広がる倒産の危機
熊谷 勝行(帝国データバンク情報部部長)
今年2月22日、新日鉄系の合金鉄国内トップの日本重化学工業が関連14社とともに、東京地裁に会社更生法の適用を申請、85年の歴史に幕を閉じた。負債総額は約1410億円に達し、製造業では2001年11月に破綻した新潟鉄工所(約2270億円)に次ぐ規模となった。
さらに5月29日、日本製紙系で高級紙印刷大手の日本加工製紙が東京地裁に自己破産を申し立て、破産宣告を受けた。設立は日本重化学工業と同じ1917(大正6)年という歴史ある企業だった。
また8月19日には、工作機械専業大手の日立精機が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した。前身は旧日産コンツェルンが1936(昭和11)年に設立した国産精機。名門企業があっさり消滅したわけだ。
今年に入って上場企業は現在までに25社が倒産。上半期だけで22社と、これまで過去最多だった97年、01年(いずれも年間14社)を大きく上回った。その中には、佐藤工業や日産建設などのゼネコン、ニコニコ堂や寿屋などの流通といった”問題業界”も含まれるが、そうではない老舗の名門メーカーも相次いで倒産し始めている。これがバブル崩壊以来、たびたび繰り返されてきた従来の金融危機とは異なる、無視できない今回の危機のポイントではないか。
金融機関におけるオーバーバンキングだけでなく、オーバーカンパニー(過剰企業)といわれる業態が広がり始めている以上、公的資金注入後の”ターゲット”とされる流通、不動産、ゼネコンなどの問題企業が処理されたとしても、問題は片付かない。鉄鋼、非鉄、商社、海運などの問題企業、さらには電機、自動車などの過剰企業はどう処理されるのか、生保も1社では済まないのではないか、とすっかり”おなじみ”となった問題企業以外の企業を市場がターゲットにし始めているのは明白だ。
日本銀行は、10月11日に発表した不良債権の基本的な考え方で、「不良債権問題は、バブルの負の遺産処理だけでなく、産業構造や企業経営の転換・調整圧力を背景に新規に発生する局面」と明記した。つまり最近は、バブル崩壊による不良債権よりも、デフレによる資産劣化が多いということをはっきりと述べたわけだ。現在の不良債権は、金額規模も問題企業数も、業態の広がりも、91年のバブル崩壊直後と比較にならないほど膨らんでいる(不良債権は93年の50兆円に対し、現在は130兆円=メリルリンチ日本証券クレジットリサーチ調べ)。
これまでのたび重なる危機は、決して乗り切ったわけではなく、単に”回避”しただけだった。そうしているうちにも不良債権、問題企業は確実に増殖しているのである。 (以下はエコノミスト本誌で)
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/economist/0210/29.html