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竹中金融担当相就任を受けて、東京株式市場では銀行株が売り込まれた。不良債権処理の強化でデフレ圧力が強まるとみられるほか、銀行に対する公的資金注入があれば経営責任とあわせて株主責任を問われる可能性があるとの見方が広がった。ただ、市場は、一段の不良債権処理が必要との見方では一致している。
下期入りした今日の東京市場では、4大銀行グループをはじめ、大手銀行株が軒並み売り込まれ、UFJホールディングス<8307>は30万円を割り込んで、東証1部値下がり率上位に顔を出した。銀行株はこれまでのリバウンド局面の後だけに、利食い売りが入りやすい、という。
米国株が年初来安値を更新するなど外部環境が悪化する中、東京市場では、公的資金注入が現実味を増したことで、これに伴う株主の痛みに改めて目が向いているという。「注入にあたっては、経営責任と同時に減資などの形で株主責任を問われる可能性がある」(大手証券)との声が出ている。
公的資金を注入して不良債権処理を加速すれば、債務企業の整理淘汰が進み、雇用や所得面からデフレ圧力が強まる懸念がある。市場では「こうした事態に備えて、どういうセーフティネットを強化できるのか、みえてきていない。デフレの進展は、銀行の収益環境が悪化して株価に影響してくる」(準大手証券)との声も聞かれる。
竹中金融担当相は就任にあたって、1)確実な銀行の資産査定、2)自己資本の確保、3)銀行経営のガバナンスの確立――の3点を強調した。市場の一部では、「金融庁が再び銀行の融資債権の検査を行い、査定を強化して簿価を引き下げ引当金の積み増しを実現、RCCによる実質簿価での買取の道を開く一方で、これによって自己資本がき損するようなら公的資金を注入する。同時に、経営陣や株主の責任を問う」との見方が浮上している。
しかし、市場では、「今年の初め、特別検査で銀行債権の査定を強化したことで、過剰債務企業の整理が進むとみられた時期もあったが、結局、デフレ圧力が高まることをおそれて大手企業を処理できず、救済の方向に方針転換してしまった」(外資系証券)との見方が強い。「今年の初めにできなかったことが、はたして今回ならできるというのか。竹中金融担当相は、これまで方針を決めたことはあるが、具体的なの政策運営にはたずさわっていないため、力量が未知数だ」(別の準大手証券)との声は多い。
「問題は、査定のさじ加減。どの程度厳しく査定するかで、不良債権処理が本当に進むかどうかが決まる。この点に市場はまだ確信を持ちきれない」(準大手証券)という。
ただ一方で、中長期的にみれば、不良債権処理を進めなければ、株価はさらに下がる、とみる声が多い。「新金融担当相の不良債権処理スタンスが甘いと市場が判断すれば、株価が下がって一段の処理を催促し、下期中には抜本的な処理に追い込まれる」(投信)という。
日銀も今年の人事で考査局を充実させて日銀考査体制を強化し、一方で銀行保有株買い取りを打ち出して硬軟両面から不良債権処理に取り組む姿勢をみせている。「金融庁と日銀が連携できれば、不良債権処理を進めるにあたってチャンスは広がる」(外資系証券)との指摘もある。
不良債権処理が進むかどうかは金融庁の運営手腕にかかっているため、市場では、「早急に具体的な対処方針を打ち出してほしい。竹中金融担当相の力量を見極めたい」(別の準大手証券)との声が多い。