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竹中平蔵金融・経財相は三十日の就任記者会見で、銀行の資産査定の厳格化と自己資本の増強、企業統治の強化−の三点を金融行政を進めていく上での課題として挙げた。銀行はさまざまな経営上の見直しを迫られることになるが、昨年度に六兆六千億円の不良債権を処理した大手銀行は、すでに「青息吐息」の状態。竹中金融・経財相が言う「一つのあり得る結果」の公的資金投入が、現実味を増してきた。(池井戸 聡)
竹中金融・経財相の言う「資産査定」の問題とは銀行が抱える債権の自己査定に対する疑念だ。市場では、回収に注意が必要で、不良債権予備軍ともいわれる「要注意先債権」への貸倒引当金が不十分との指摘が多い。ただ、金融界はこうした批判に「引当率は倒産の統計に基づき算出している」と反論してきた。
一方、竹中金融・経財相が指摘した「自己資本」の問題では、大手行の自己資本に繰り入れられている「繰り延べ税金資産」の増加を懸念する声が根強く、銀行側の分が悪い。繰り延べ税金資産は貸倒引当金を積めば積むほど膨らむが、将来、利益を上げないと実際の資産にならず、自己資本が水膨れしているとの見方もできる。
また、企業統治については竹中金融・経財相は「銀行が収益力を上げる体制にあるか」を心配しているとみられる。大手銀行は貸出金利の引き上げを進めているが、経営が一挙に好転するような新たな収益源を見いだしていないのが現状だ。
ただ、市場関係者の間からは、竹中氏が金融、経済財政の両部門を一手に引き受けることに「業務が回るのか」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との不安も出ている。経済財政諮問会議に加え、金融相の職務もこなすことで「かえって小泉改革のスピードが落ちないか」との疑念だ。