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27日にワシントンで開催されたG7については、日本(財務大臣)が、公的資金 注入を公約した、しない、で混乱した。UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは、「個人的には、日本は『危機管理としての公的資金注入の可能性』には言及したものとみているが、『不良債権処理の加速 と関連付けた公的資金注入』にはコミットしていない、と考えている」と語る。「株価の大幅下落等の下での金融システム安定化措置」として、後ろ向きの資金注入が実 施される可能性はあっても、「不良債権処理に関連した改革促進型の資金注入がな されることはない」と引続き予想する。なお、RCCの不良債権買取り価格引き上 げによる間接的、迂回的な公的資金投入については、買取り価格引き上げを巡っ て紆余曲折が予想されることから、現状では、前向きに評価しにくい。要するに、「銀行の資本増強策は、株価の大幅下落等によって危機的な状況が現実のものと なるまで、意味のある進展が生じる可能性は低い」と見る。
<公的資金注入の目的は何か?もう一度、原点に返るべし>
なお、公的資金注入については、「もう一度、原点に返ることが必要であろう」。すなわち、「公的資金注入の目的は何か」ということをあらためて問うべきである 。基本的に、答えは2通りである。第1は、不良債権の処理を加速させるため、 というものであり、第2は、金融システムを安定化させるため、というものである。第1の答えの背景には、「日本経済の長期低迷の元凶は産業構造調整の遅れにあ り、これを打開するためには、銀行による思い切った過剰債務企業の整理が必要である」、との思想がある。そして、不良債権処理コストを公的資金注入でカバーしようということである。簡単に言えば、銀行に税金を投入し、過剰債務企業を潰そうということである。なお、このスキームでは、銀行の経営陣に対してか なり厳しい責任追及がなされることになる。 他方で、第2の答えの背景にあるのは、「景気低迷による企業業績悪化や世界的 な株価下落によって銀行の資本が毀損されつつあるが、金融システムの脆弱性が 実体経済に悪影響を及ぼすことがないように、当局は予防的な資本増強策を実施 する必要がある」という考え方である。なお、ここでは、税効果会計で銀行の自 己資本がやや過大評価されていることも大きい。簡単に言えば、銀行に税金を投入することで、預金者や借り手の不安心理を取り除き、金融経済システムの安定 を維持しようとするものである。
<現実には、「システム危機の回避」とならざるを得ない>
第1の主旨での公的資金注入は、「RCCや企業再生ファンド等を活用した過剰債務 企業の再生に関する枠組みが十分に構築されていない現状では、日本経済を単に混乱に陥れてしまう可能性が高い」。一方、第2の主旨での公的資金注入は、「日本経済の混乱は避けられようが、逆にモラルハザードの問題を招く」。現実問題として、「公的資金を投入して経済混乱を招く」といったシナリオは政 府にとって採りようのない選択肢であり、従って、公的資金注入の目指すところ は、「システム危機の回避」とならざるを得ないと見ている。そして、安易な注入によるモラルハザードを可能な限り避けたいとすれば、公的資金注入は「客観的にみて金融システムが危機的状況に陥っている」ことを前提条件として必要とするであろう。「何のことはない。これはまさに現行の法的スキームである(預金 保険法第102条)」
<公的資金注入のきっかけの最大候補は、株価の大幅下落>
要するに、政府として、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある」と認めることができるまで、公的資金注入は具体化してこないと言う。そして、そのきっかけとなる最大の候補は、「株価の大幅下落」であると読む。