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ブッシュ米政権はイラクに対する新たな国連安保理決議案を30日にも提示する構えだ。一方で、攻撃に向けた軍事的な準備を湾岸地域で着々と進めている。米軍はペルシャ湾上に展開する第5艦隊を中心にイラクと国境を接するクウェートなどに兵力を集結、「実戦」に備えている。
■砂漠地帯で演習
イラクの首都バグダッドまで北に約500キロ。イラク国境沿いのクウェートで24日、米・クウェート合同演習が始まった。湾岸地域に展開する計約2万人の米兵の半分以上にあたる約1万1000人が集結し、気候の変化の激しい砂漠地帯で昼夜の演習を約1カ月にわたって繰り返す。
米軍は「通常の訓練」(第5艦隊司令官)とするが、ブッシュ大統領がフセイン政権転覆をはかる場合、地上軍投入は不可欠で、クウェートが拠点となる可能性は高い。29日付ワシントン・ポスト紙は、テキサス州の陸軍基地でイラクのユーフラテス州を想定した戦車の渡河訓練が行われていると報じた。
中東地域を管轄する米中央軍は、フロリダ州の司令部からカタールに指揮機能の一部を移転。約600人を派遣して、訓練を始めた。イラク戦が始まれば、そのまま「前線司令部」になる予定だ。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、軍上層部も最近、対イラク戦を想定した詳細な図上演習を実施。不足が見込まれた探査攻撃用の無人航空機や大量の衛星誘導弾を発注したという。
■周辺国のジレンマ
攻撃の拠点を周辺国にできるだけ多く確保したい米軍に対し、アラブ湾岸諸国は厳しい対応を迫られている。イスラム教徒としてイラクに対する「同胞意識」や民衆の反米意識が強い地域だけに、各国政府は表向きには「国内の基地が攻撃に使われることはありえない」(マアシャル・ヨルダン外相)と予防線を張る。米軍はこうした反発を見越し、カタールなど比較的好意的な国に拠点を移そうとしている。
一方で、周辺国は経済や安全保障面で米国との関係を無視できない。湾岸諸国の多くは、駐留米軍を軍事大国イラクの脅威への防波堤にしている。当初、基地使用に難色を示していたサウジアラビアも、サウド外相が「安保理決議に基づく武力行使なら基地使用を認めうる」と述べている。ただ、使用を認めれば、反体制派が勢いづく恐れがあり、駐留米軍へのテロ攻撃などの危険も増す。
■反体制派支援も
米国は秘密情報活動も活発化させている。AP通信などによると、ホワイトハウスと国防総省は、「イラク国民会議」(INC)など反体制派約1万人を対象に軍事訓練を検討。近く議会に承認を求める考えだ。
また、アフガニスタンでの対アルカイダ戦でも使われた特殊作戦部隊の一部を一時的に米中央情報局(CIA)の指揮下に置き、北部のクルド人自治区などで、イラク反体制派との協力を探っているという。ただ、民族や宗教、宗派が異なる反体制派は離合集散を繰り返しており、米国の思惑どおりに動く保証はない。
(23:04)