現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
「マイルドな資本逃避・・・国家破産の足音」
【前編・マイルドな資本逃避】
限りなくゼロに近い日本の金利・・・。
資産運用というよりは、貯金箱状態の国内の金融市場から、今、個人マネーが、堰を切ったように海外に流れている。
日興コーディアル証券・リテール事業推進部・山下修一課長
「とっかかりは外貨預金、それを始め、海外との金利差に気付いて こられた方が増えている」
こちらの証券会社では、この夏、海外への投資キャンペーンを展開。
投資は初めてという層を中心に需要が伸び、外貨での運用額が半年前に比べ3倍に膨らんだ。
外貨投資の魅力は何と言っても金利の高さ。例えば、日本の長期国
債の利率が1%台なのに対し、アメリカ、イギリスなど主要国では5〜6%台だ。
こうした債券や株などの外貨資産は、前の年に比べ、30%から40%台の高い伸びを見せている。国内マネーが徐々に外貨へシフトしているのだ。
日興コーディアル証券・リテール事業推進部・山下修一課長
▽「日本を含め、世界経済見渡すとかなり伸びている国、会社、落ちていく所時代によってばらつきがある。為替リスクを回避しながら高い金利を安定的に確保!」
だが海外投資にリスクはつきもの。その最も大きなものが為替リスクだ。最近の不安定な為替相場は投資家にとっても心配の種!
そこで為替リスクを減らす動きが出てきた。
三井住友銀行銀行投資商品事業室・川口伸室長
「ヨーロッパは日米に匹敵する規模。金利の魅力はユーロの方が高まってきた」
ドル安を受けて人気急上昇なのがユーロ。
こちらの銀行では、ユーロで積み立てる投資信託の売上げが、半年で3倍に膨らんだ。
また外貨預金でも、ユーロ預金が2倍に増えた。
円、ドル、ユーロの3つを併せて持っていれば、いずれかの通貨価値が落ちても、逆にいずれかの価値が上がると考えられる。
三井住友銀行銀行投資商品事業室・川口伸室長
「国内の低金利、株安の長期化で海外の投資は興味が高まっている。
円とユーロと3つの分散投資をしていくというのが(投資家)共通の考え。」
一方、海外投資で為替リスクとともに恐ろしいのが、「国」の信用リスクだ。
去年、対外債務不履行、つまり外国からの借金は返せません!という宣言をしたアルゼンチン政府。日本国内での、アルゼンチン国債の購入額は2000億円近くにのぼるが、これが紙切れ同然になる恐れがあるのだ。
青森教職員組合の関係者は・・・
「損失補てんの財源、内部留保は33億を補填する持ち合わせはない・・・」
青森県のこちらの団体は、およそ34億円のアルゼンチン国債を保有。
7%台の利率と、国だからという安心感でアルゼンチン国債を購入したというこの団体。現在は、損失補てんに備えて、事業の縮小に迫られているという。
一方、日本の国債も他人事ではない。先週、日銀が銀行保有株の買い取りを表明したことで、国債への信頼度が低下。じわじわ値を下げているのだ。
慶応大学・深尾光洋教授
「この背景には政府の信用に対するゆらぎがある。マイルドではあるが資本逃避が徐々に始まっている」
【後半・国家破産の足音】
200X年・・・。
ある日、突然、銀行からお金がおろせなくなった。
ペイオフより恐ろしい預金封鎖である。
巨額の財政赤字を抱えた国家に愛想をつかした国民が、円を外貨に替えようと大量にお金を引き出す。そして国際的な信用もどんどん低下し、円安、インフレが加速。
そこでこの動きに歯止めをかけるため、国が預金の引き出しに制限を行かけたのだ――。
外そんな話はあり得ない!とは言っていられない。
今やそれが現実のものとなっている国もある。
去年12月、国家破産したアルゼンチン。
アルゼンチンの人
「何も引き出せないわ!ペソもドルも下ろせない!こんなのインチキよ!」
アルゼンチンは1ドル1ペソという固定相場制を取ってきた。ところが、経済の実態とはかけ離れたペソの高さに輸出は落ち込んで、税収も伸び悩み、財政赤字が拡大。
ついに、政府は対外債務不履行宣言を行って、変動相場制に切り替えた。
国際的信用を失ったアルゼンチンペソは、一時、1ドル4ペソまで急落。そして価値が下がりつづける自分の国の通貨をドルに替えようと国民が銀行に殺到。
そこで政府は国内資本の海外逃避を防ぐため、預金の引出しを制限するとともに、銀行の営業を一時停止させたのだ。
では、日本の場合、国家破産、そして預金封鎖という事態はあり得るのか?
慶応大学深尾教授
「預金封鎖の可能性が、ないわけではない」
そのカギを握るのが個人が持つ外貨資産の動向。
慶応大学深尾教授
「国民の金融資産の5%以上を外貨にしたいとドルに替えるとものすごい円安になる。円安になればインフレが加速、こういう状況になれば預金の引き出し制限が起こる可能性」
現在、日本の個人金融資産に占める外貨の割合はおよそ1%。それが、5%に増えるだけで預金封鎖の可能性があるという。何故か?
本来、異常な円安が進めば政府・日銀が介入し、ドルを売って円を買い、円安を抑える。その介入のための資金が、いわゆる外貨準備。
その総額は世界一の4500億ドルだ。
一方、個人金融資産の5%は、70兆円、およそ6000億ドルにものぼる。
つまり5%とは言え政府がドルを売って円を買い戻し、円安に歯止めをかけようとしても、その額は外貨準備を上回る大規模なもの。
介入で何とかできるレベルではない。国民は円の価値が目減りする前に少しでも早くにドルに替えようとして、一層、円安が加速する恐れがある。
アルゼンチン国内の資本の海外逃避、そして預金封鎖の引き金を招いた財政赤字。その二の舞にならないよう日本政府も、現在「歳出削減」をコンセプトに来年度予算を作成している。
しかし、深尾教授は、もっと思い切った対策が必要だと主張する。
慶応大学深尾教授
「金融資産の課税という思い切った手段が必要」
それは、奇しくも、このベストセラー童話とよく似たシナリオ。この本によると・・・。
預金封鎖の後、町の銀行や郵便局に大勢の動物たちが群がった。
紙幣が一新されることになったからだ。
彼らは古い紙幣を手にして建物の中に入り、新しいデザインのお札に替えて出てきた。
よく見ると、手にした紙幣の枚数は、前より減っていた。
交換比率が引き下げられたのだ。つまり、財産の一部が強制的に国に取り上げられ、財政赤字補填に当てられた・・・。
慶応大学深尾教授
「再来年、政府が銀行券(お札)の刷り直し、改札と言っているので、非常に良いチャンス!その時に1万200円を新1万円と交換する。200円を税金として徴収・・・」
じわじわ始まる海外への資本逃避・・・。
これは、国家破産への足音なのか?
近い将来、私たちの財布の中から、円が消える日が来るかもしれない・・・。