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小泉純一郎首相が表明した「不良債権処理の加速」を実現するため、政府・与党内では公的資金の再投入論が一段と強まってきた。(1)整理回収機構(RCC)の不良債権買い取りを通じた間接投入(2)処理加速の結果、資本不足に陥った銀行への直接投入ーーの2案が軸になる。再投入のシナリオをまとめた。【瀬尾忠義】
■RCC活用
金融庁が検討しているのは、現在は企業清算を前提にRCCが設定している不良債権の買い取り価格を、企業が将来存続した場合に得られる収益を加味して引き上げる案。与党からは、買い取り価格を実質簿価(取得原価から貸し倒れ引当金を引いた価格)まで引き上げる案も出ており、いずれも銀行側は不良債権を従来より高く売却でき、RCCを活用した不良債権処理が進むことになる。
問題は、RCCが高値で買い取った不良債権を最終的に処分する段階で発生する可能性のある損失(2次ロス)をどう穴埋めするか。政府・与党内では、公的資金と銀行で損失を分担する構想も浮上しているが、それでも「税金による間接的な銀行救済」という批判が出る可能性もある。
■危機認定で直接投入
政府・与党内では銀行への直接投入も検討されている。銀行が業績不振の企業について、再生させる企業と整理する企業を厳しく選別。さらに、査定を厳格化して、不良債権の引き当てを強化する。
大手行の自己資本比率は今年3月末現在で10%台を維持したが、最近の株価下落で自己資本比率は10%台を割り込んだ。引き当て強化で自己資本比率が健全基準である8%を下回る大手行が出てきた場合には、政府が現在の預金保険法の規定に従い「危機の恐れがある」と認定し、預金保険機構の危機対応勘定(15兆円)から公的資金が投入される。
■新法で直接投入
企業整理の促進、査定厳格化で、大手行が過少資本に陥る可能性が高いなら、あらかじめ新法を制定し、公的資金投入の道を開くべきだとの意見も多い。「危機認定」による投入は、日本の金融システム全体に対する海外からの信用を失う危険が非常に大きいためだ。
ただ、現行法、新法のいずれにしても直接投入の場合は、RCCを通じた間接投入以上に銀行の経営責任を問う声が高まるのは確実。
「第一段階として、RCCを活用した間接的な公的資金投入を行い、並行して引き当て強化などを実施し、必要な場合に直接投入に踏み切る」というシナリオが有力だ。