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メガバンクの“勝ち組”とされる三菱東京フィナンシャル・グループが、平成14年9月中間決算で1000億円規模の最終赤字を計上するとの見通しが金融関係者に衝撃を与えている。さらに株安による保有株の評価損拡大で大手行すべてが中間配当を2年連続で見送る方針で、柳沢伯夫金融担当相がどう強弁しようと、まぎれもない「金融危機」。公的資金注入、国有化など抜本策を求める声は高まるばかりだ。
さしもの三菱も、株安には勝てなかった。平均株価が1万1000円台だった今年3月末では、20億円の株式含み益を維持していたが、6月末の時点で1446億円の含み損に転落していた。
三菱東京は期初には280億円の中間最終黒字を見込んでいたが、9月末は平均株価が9000円台まで落ち込むなど株安が直撃。26日付の日本経済新聞によると、傘下の東京三菱銀行の株式処理損失は1000億円を上回る一方、本業のもうけを示す業務純益は伸び悩み、グループの最終赤字額が1000億円規模に上る可能性が大きいという。
他のメガバンクは、三井住友銀行が400−500億円の利益を計上、みずほホールディングスとUFJホールディングスも期初の見通しを下回るものの黒字を確保するとみられる。
しかし、三菱東京だけが経営が厳しいのかというと、決してそうではないようだ。
三菱東京は、保有する株式の時価が取得時の価格から3割以上下落すると、損失を計上するという減損処理のルールを厳格に適用、債券での益出しも抑制した。一方で、持ち合い株の解消売りも、ETF(株価指数連動型上場投資信託)を使うなどしてほぼ計画通り進めている。むしろ、「赤字が出せるだけまだ余裕がある」(金融関係者)というわけだ。
大手行の中には、債券の売買で益出しする一方、株価が急落した7月以降、持ち合い株の解消売りを凍結し、損失の表面化をまたしても先送りしているところもあると指摘されているのだ。
平均株価が9000円台では、大手行の含み損は4兆円を突破、自己資本比率も軒並み10%割れするとみられる。
このため、中間決算では三菱東京が普通株、UFJが優先株の配当を予定していたがともに見送り、メガバンクすべてが中間配当なしとなった。
三菱東京を除く公的資金注入を受けた各行は、優先株が無配となり国有化される可能性を避けるため、期末には何としても優先株の配当を行うとみられるが、“米びつ”がほぼ空っぽの状態では、とても不良債権処理どころではない。
こうした危機的な状況を受けて、日銀が銀行の保有株買い取りという禁じ手を打ち出したのだが、柳沢金融相は「今は危機ではない」の一点張りで、内閣改造で退任の可能性が強まっている。
一方、塩川正十郎財務相や竹中平蔵経済財政担当相などは公的資金注入に積極的。IMF(国際通貨基金)にまで公的資金の再注入を提言されるなど、外堀は埋まりつつある。