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【中国】ストップ・コピー商品、上海日系が団結
中国進出の外資企業を悩ませる知的財産権の侵害問題。商標、意匠、特許と幅広い範囲で広がる偽物への対応には組織的な力が必要と、上海市近郊の日系企業が研究グループを結成、市内のホテルに約50社が集まり20日に初会合を開いた。摘発したそばから再発を繰り返すイタチごっこに終止符を打つことができるか。世界的にも名の通った日本ブランドは狙われやすい。ジェトロが昨年11月、在中国日系企業を対象に実施した偽物被害状況に関するアンケートによると、回答企業の54%が何かしらの被害にあっているという。世間をあっと驚かせ、中国ビジネスの異次元性を再認識させた「日本ヤマハ事件」はまだ記憶に新しい。
「偽物問題はいまや日中間最大の通商問題となっている」と指摘するのは先日第1回会合を開いた上海IPG(知的財産権問題研究グループ)の事務局となるジェトロ上海。「中国の世界貿易機関(WTO)加盟後も拡大傾向にあるが、現地(中国)に専任担当者を配置している企業はごくわずか。中国の知的財産権問題は個別企業で対応しきれないものも多く、組織的な対応が必要」というのが上海IPGの発足理由だ。
■真似できるものは商業秘密ではない
この、古くて新しい知的財産権問題については、個々の企業がこれまで様々な手だてを講じてきたが、法制度の未整備などが問題解決の阻害要因になるケースもあることから、民間単独ベースでの取り組みの効果に疑問を持つ声が挙がっている。裁判で争っても「他社が真似できるものは商業秘密と言うことはできない」との判断が下されることもあるという。また、ある企業は「意匠権侵害で訴訟を起こしたところ、コピーメーカーに操業停止命令が出ただけで賠償金はまったくない。コストをかけて意匠権を登録する意味があるのかジレンマに陥っている」と明かす。
意匠権では、ソニー・コンピュータエンタテインメントもゲーム機・プレイステーション1と外観が酷似するVCD機をめぐり意匠権侵害で争ったが、「ゲーム機とVCD機は、類似性を比較することができる物ではない」とする一審判決が先日言い渡された。開発費をかけ、技術やアイディアを結集して生み出す知的財産の権利認識が、中国ではまだ途上にある。
「民間ができることには限界がある。法改正など中国政府に直言できるかどうかと言えば、難しい」との声に代表されるように、中国政府にどれだれ圧力をかけることができるかどうかで、上海IPGの取り組みの成否が分かれそうだ。上海IPGは、被害状況の情報交換や実態調査を行うとともに、税関や工商局などの中国政府と意見交換を進めていくことにしている。
■生産拠点をたたく
「日本に100%輸出していた製品を内販しはじめたら偽物が出回るようになった」というように販路絡みの偽物があることは確か。だが「偽物商品を根絶するには販売を現行犯でとらえても『もぐらたたき』になるだけで、生産現場を摘発しなければ意味がない」。これが被害を受けているメーカーの一致した意見だ。偽物対策で本物と偽物の比較表をつくると、これを参考により本物に近い偽物が現れる。高品質の偽物を生産する工場は自社グループに取り込んでしまう(下請け化する)ケースがあるほど、中国のコピーメーカーの生産能力は向上している。
オーディオ・ビデオなどブランドイメージが確立した日本のお家芸製品では、欧米でコピー商品が大量に見つかることもあり、調べるとこの多くが中国で生産されたもの。OEM(相手先ブランドによる生産)の委託先から流れることがあるという。すでに偽物による中国生産・海外向け販売の販路が確立され、価格ではこれに対抗できないことから、中国への工場移転をあきらめるという日系企業も出てきているようで、知的財産権問題は既存の中国進出日系企業だけではなく、今後の中国投資にも影響を及ぼすことが予想される。【月曜特集】▼全記事タイトル一覧→[http://nna.asia.ne.jp/free/bm/](NNA)