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(回答先: デフレ、不況、構造改革 >あっしらさん 投稿者 たにん 日時 2002 年 9 月 21 日 00:20:03)
たにんさん、こんにちわ。
グラフは、ある意味で、90年代の日本経済及び日本国家の実態を現しています。
就業世代は経済的苦境に追い込められ、リタイア世代のある部分は、なんとか維持されている年金支給とリタイアまでに貯めた預貯金で優雅な消費生活ができます。
そのような世代間格差をどう解決するかが、政策選択の大きな分岐点になると考えています。
すなわち、リタイア世代の年金支給を切り下げて就業世代の負担を減少させる政策を選択するのか、それとも別の政策なのかという違いです。
前者であれば、リタイア世代の消費が減少し、就業世代も老後に対する不安からより消費が減少します。
前々からの主張ですが、この問題は、就業世代の給与を増加させて、年金保険料や健保の負担率を下げることでしかまともな解決はできません。
>それで、なぜバブルが発生し崩壊が続くか(投機的な資金の持続的な引き上げが生じ
>ているか)ですが、
>1、規制と所得再配分の失敗のせいで輸入が十分増加しなかった(本来は余剰通貨
>は、輸入の増大で消費され、国民全体が豊かになったはず)
90年代に日本企業海外生産分の生産財と製品の輸入比率が増加し、円安が利潤増大や国際競争力の強化により結びつかない貿易構造になっています。(農産物や魚介類の輸入も増加しています)
輸入財であれ、国内供給財であれ、需要者に通貨がなければ増えません。
余剰通貨が投資・給与・徴税というかたちで、使われなかったことが最大の問題だと考えています。
また、貿易収支を赤字に転換させるほどの輸入の増加は、国際基軸通貨が自国通貨である米国でさえそうですが、国内の供給基盤を蝕んでいくため、長期的には国民全体が豊かになることはありません。
所得再配分がうまくっていれば、バブルも「デフレ不況」もなく、日本企業の製造拠点海外移転も穏やかなものになったと考えていますので、生産財や製品の輸入増加も、現実よりは増加ペースが緩やかだったでしょう。
>2、期待された国内産業の生産性の上昇が全く起こらず、
>逆に無駄な公共投資のせいでさらに低下してしまった
無駄な公共投資でも、投入と産出の関係で見た生産性の上昇にそれなりに貢献しています。
無駄な公共投資がなければ、雇用構造に照らして、生産性がもっと下がっていたはずです。
もちろん、有効な財政支出であれば、生産性の上昇により貢献していました。
>3、米国支援のための低金利政策でインフレ速度がバブルに対し追い付けず、バブル
>を打ち消せなかった
80年代後半の問題だと思いますが、所得分配を含む通貨の配分が歪であったから、インフレは抑制される一方でバブルが形成されたのです。
通貨が、投資や給与ではなく株式や不動産という資産に注ぎ込まれたことで、物価は緩やかな上昇、資産価格は急上昇という経済事象を呈したわけです。
低金利政策はバブル形成の加速要因ではあっても、バブル形成そのものの要因ではありません。
>4、含み経営からの脱却に金融機関が成功していない
>などが原因ではないかと見ています(定性的であまり気分が良く無いですが)。
“含み経営”は、金融機関に限らず、日本の伝統的企業が陥った罠です。
これは、政府が、戦後まもなく行われた“企業資産再評価”政策をその後行わなかったことが原因だと考えています。(“企業資産再評価”政策を行わなかったのは、見えない企業優遇政策の典型です)
これを行っていれば、“含み経営”はなくなり、法人税税収も格段に増えていたはずです。さらに言えば、バブル形成の一翼を担った一般企業の財テクも抑制されていたでしょう。
>それと、あっしらさんの用いている数学的分析は何がベースなのでしょうか?
>あまり経済に詳しく無いので何か論文があれば教えていただければ幸いです。
>もう少し定量的に、このモデルでデフレ過程と給与上昇(黒字企業の売り上げに対す
>る労働分配率の上昇)の需要構造に与える影響をきちんと記述したものを見たいと思
>います。
>特に、デフレ予想や、国外産物の流入の効果を定量的に記述したものに興味があります。
>(どうも検索しても見つからないようです)
経済学者でもないし、経済学専攻でもありません。
経済学者であれば持説の数学モデルも作成したいと思いますが、それに着手するつもりはありません。(職業として経済学を研究している人がやってくれればと思っています(笑))
私のような論理を展開している経済学者や経済専門家も寡聞にして知らないので、紹介もできません。