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財務省が20日実施した10年満期国債の入札で、入札予定額に金融機関などからの応募額が達しないという事態が発生した。10年物国債での応募額の不足は価格競争入札制度が導入された89年度以降初めて。日銀が銀行保有株の購入策を打ち出したことで債券相場が急落(金利は上昇)し、金融機関の一部が入札を手控えたとみられる。
不足分は銀行や証券会社などで構成するシンジケート団(シ団)が全額引き受け、最終的な国債消化に支障はないが、株などの運用難で資金が集中していた債券市場は当面、不安定な値動きが続く可能性がある。
20日の10年物国債の入札では、全体で1兆8000億円分(表面利率1.2%)を予定。うち、75%の1兆3500億円分を価格競争入札したが、金融機関などからの応募は0.89倍にとどまり、応札が約1437億円不足した。応募額不足は、4年物国債で94年にあったが、10年物は例がない。
財務省や市場関係者によると、日銀が18日発表した銀行保有株買い入れ策をきっかけに、市場では、資金が債券から株式へ移動し国債価格が下落(金利は上昇)するのではないか、とする思惑が拡大していた、という。 月1回実施される10年物国債の入札は、低金利による金融機関の運用難などを背景に、5月の応募倍率は予定額の10倍超に達し、8月でも2.6倍だった。不足分は、シ団があらかじめ引き受けることになっている4500億円分に追加して購入する契約で、実際に債券が発行される10月時点で不足は解消される。
財務省は「一時的な購入見送り」とみており、年度内に21兆6000億円の発行を計画し、このうち9兆円分を残している10年物国債の発行計画について、見直す必要はないと判断している。
だが、財務省は表面利率を市場動向に合わせて決定しており、今後も応募額の不足が続くような事態になれば、利率の引き上げは避けられない。その場合、償還負担が増し、財政への重荷になる。
この日の債券市場は初の事態に敏感に反応し、10年物国債の金利が上昇、前日比0.120ポイント高い1.300%で取引を終えた。市場は、不良債権処理やデフレ対策をめぐり、政府や日銀が今後、どんな政策を打ち出すか注視しており、政策次第で市場がさらに不安定になると指摘する専門家もいる。
(22:59)