現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
先進国では例をみない銀行保有株を買い取るという奇策に出た日銀。19日の平均株価は一時、400円を上回る急伸をみせたものの、その後しりすぼみ。投資家や証券マンは株価テコ入れを期待するが、その一方で「どこまで効果があるのか」「政府の抜本的なデフレ対策がないと、本格的な株価回復もない」との見方もある。危険なカケをあえて選んだ当局ではあるが、素直に喜ぶのは早急なようだ。
日銀が買い取り対象とするのは大手銀行11行と地方銀行4行の株式。規模は1−2兆円程度とする方向で現在調整しており、10月上旬には銘柄の選定基準などの具合策を決定し、年内に買い取りを開始する方針だ。
日銀が奇策を打ち出した後の翌19日、平均株価は一時、412円54銭まで上げ幅を急伸。日銀が買い取り対象とすることが予想される大手自動車、通信株などの買いが殺到し、4大銀行株も大幅高になった。
市場が好感をもって敏感に反応したのは、「事前に予測がつかない大胆な対策」(大手証券)だったためで、準大手証券のエコノミストは「日銀が歴史的にみてこんなに大胆に動いたことはない。意義は大きく、長期的には株価の上昇と安定につながる可能性はある」との見方を示す。
株価を押し上げた具体的な原動力は、日銀の対策により、持ち合い解消が進むことによる株式相場への「2つの効果」が挙げられる。
1つは銀行の抱える「株式変動リスク」が軽減されることで、もう1つは株式相場の需給の改善だ。銀行が大量に保有する株を日銀が購入すると、市場に出回るはずの株が塩漬けになり、特定企業の株価を押し上げ、市場をゆがめることにもなるが、そのデメリット以上に株価上昇という期待は絶大といえる。
ただ、この効果の持続力はどうなのか。
昨日の終値は結局、197円高にとどまった。市場では「結局、日本の銀行が市場の信頼を回復できない限り、一時的な効果でしかありえない。最大の問題である不良債権という根本的な問題が解決しないと無理」(準大手証券)との見方が大勢を占める。
実際に長引くデフレ不況や株価低迷で、取引先の企業の経営悪化は拡大するばかりで、新規の不良債権は毎年増えているのが現状だ。
銀行としても、「自力で不良債権問題を解決するには難しい」(大手都銀幹部)とされ、政府・日銀も、不良債権処理の後押しとなる新たな対策を検討している。
「日銀が株価下落で銀行経営が圧迫されるリスクの“前門の虎”を始末した後、政府が不良債権問題という“後門の虎”に本気で取りかかれば、株価は本格的に回復する」(金融アナリスト)とされるだけに、今後のデフレ対策により注目が集まる。
もっとも、その内容が期待はずれに終わった場合、失望感は計り知れず、その際は日銀が肩代わりしたリスクの問題だけがクローズアップされることになるが。