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日銀による銀行保有株の購入検討の決定は、18日午後の金融市場を大きく動かした。株式市場は銀行株を中心に急反発したが、円相場と債券相場は、「中央銀行の信認低下」などを見越して、一時、パニック的な急落となった。日銀が想定外の対応に踏み込んだインパクトの大きさとともに、危うさも浮き彫りした。
株式市場では「相場が転換点を迎える可能性もある」(大手証券)と歓迎ムードが強く、日銀が購入する可能性のある銘柄を物色する動きもあった。この日は、みずほホールディングス株が7000円高い25万円、UFJホールディングス株が9000円高い26万2000円など銀行株が軒並み上昇。持ち合い株の代表格とされるトヨタ自動車株は、20円高い3130円と続伸した。
市場関係者によると、銀行が多くの株を保有するのは、自動車や電機メーカー、電力、鉄道など歴史があって発行株数の多い大企業が多い。今後、こうした銘柄が先回りして買われる可能性が強いが、「日銀が有力銘柄ばかりを買えば、株価の2極化が一層激しくなる」(関係者)との見方が出ている。
一方、「昭和40年不況」でも、日銀融資を使って日本共同証券、日本証券保有組合が過剰株式を買い入れたが、相場全体の回復はならず、その後の「いざなぎ景気」を待つしかなかった歴史もある。UFJつばさ証券の吉越昭二・投資情報部長は「今回の措置で中小企業への銀行貸し出しが増えるなど実態経済に好影響が出るかどうかがポイントだ」と指摘する。 【高橋秀郎】
笹島勝人・UBSウォーバーグ証券アナリスト
日銀の大きな決断だが、効果は不明だ。日銀が銀行保有株式を時価で買い取るというが、銀行から見ると(現在の株価水準では)「損は損」という事情に変わりはなく、救済されるわけではない。ただ、持ち合い株式解消は必要で、銀行は中間・本決算期末に向け、売り手を見つける手間を省くことができる。
しかし、今回の措置は、しょせん株式需給(株価)対策。株価が本格的に回復するには、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が良くならないといけない。日銀が政府にボールを投げ返した格好で、デフレを起こさないように不良債権処理を促進する政策が期待される。
(銀行から不良債権を買い取る)整理回収機構の企業再生機能の強化、銀行に対する金融庁による再度の特別検査、公的資金の再投入などが必要だ。 (談)
上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミスト
日銀が株式需給に直接介入する手法を採用したことは、先進国の中央銀行としては異例で、新興国のような領域にまで踏み込んできたと言える。日本の経済・金融システムが追い込まれている証しだ。
今回の措置は明らかに株価対策であり、個別株式の需給は改善するため、18日の市場では株式は取りあえず買い戻された。銀行保有比率が高く、格付けが相対的に高い銘柄が19日以降、買われるだろう。
しかし、対症療法的な危機管理政策発動の結果、日銀の財務の健全性が損なわれる危険性が増大し、日銀ひいては円という通貨の信認が低下するという大きな代償を支払い続けることになる。
今回の措置を受け、市場は株高、債券安(金利高)、円安で反応したが、株高と債券安は短命に終わるだろう。 (談)
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト 日本経済停滞の要因である金融問題には(1)不良債権処理(2)銀行が保有する大量の持ち合い株式――がある。日銀の狙いが、銀行による持ち合い株式解消売りのサポートならば、評価できる。株価対策のつもりなら、失敗するだろう。
銀行は法律で持ち合い株解消を義務付けられ、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の見通しに基づかずに大量の株式を売っている。しかし本来、こうした売却は市場の株価に反映されてはならないはずだ。持ち合い解消の影響で株価が下落すれば、実体経済に悪影響が出るため、これを回避する政策と受け止めている。(談)