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金融行政の迷走が金融危機の元凶−。金融庁が、来年4月に予定していたペイオフ(預金払戻額を元本1000万円とその利息に制限する措置)全面解禁を、同9月まで5カ月延期する方針を固めたことが明らかになった。方針が二転三転してきたペイオフ解禁だが、与党内にはペイオフの完全凍結を求める声が依然、根強く、これで決着ということにはなりそうもない。大手銀行への公的資金の投入をめぐっても、竹中平蔵経済財政担当相と柳沢伯夫金融担当相=写真=が激しく対立しており、政府の金融行政は機能不全に陥っているのだ。
政府は当初、予定通り来年4月から全面解禁すると強気だった。ところが、“危ない銀行”からの預金流出など金融不安が高まると、ペイオフの対象外で全額保護を継続する「決済専用新型預金」を創設し、すべての銀行に導入を義務付けると言い出した。
しかし、金融業界から導入のためのシステム開発に莫大(ばくだい)なコストがかかる上、十分な時間もないと、大ブーイングが巻き起こると、今度は「新型預金に加え、金利をゼロにした普通預金も全額保護する」「導入は義務化しない」と方針転換。さらに、導入時期は来年4月ではなく、一定の猶予期間を設けると妥協してきた。
猶予期間についても、「1年間という案が浮上したが、1年では長すぎて、全面解禁の完全な延期になってしまう」(金融筋)という、実に安直な理由で、5カ月に落ち着いたようだ。
ただ、与党内には「今年4月から定期性預金のペイオフが解除されたが、定期性預金も全額保護に戻し、ペイオフは完全凍結すべき」(自民党幹部)との極論も出ており、これで決着するかは未知数だ。
金融業界でも「新型預金の導入などというまわりくどいことはせず、普通預金の全額保護を継続し、全面解禁を延期すると宣言すればすむ話。猶予期間も、メンツにこだわった金融庁の苦しまぎれの弥繕(びほう)策だ」(大手都銀幹部)と批判する声ばかり。
金融行政のドタバタはペイオフ解禁だけではない。“犬猿の仲”の竹中vs柳沢の抗争が一段と激化しているのだ。
竹中担当相は「公的資金の再注入が不可欠で、銀行の国有化も視野に入れるべき」と主張。一方、柳沢担当相は「再注入は必要ない」とまったく取り合わない。
株式市場関係者の声は辛辣(しんらつ)だ。
「ペイオフを解禁して、不健全な銀行を淘汰し金融システムの安定化を進めるのか、ペイオフを全面凍結してでも断固として金融危機を回避するのかという、根本的なスタンスが定まっていない。公的資金の注入も、淘汰か、救済かということ。基本スタンスを明確にせず、小手先の策で取り繕っている限り、金融危機は回避できない」(米系証券金融アナリスト)