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株価下落による金融不安の再燃懸念を背景に、小泉首相の出した金融機関の不良債権処理加速策指示が、柳沢金融担当相と金融庁を追い詰めている。柳沢金融担当相は、小泉首相との会談で、金融機関の流動性や自己資本に問題がなく公的資金注入は不要であること、また従来の不良債権処理策でも2004年度に正常化する、との見解を伝え慎重だが、小泉首相が最終的に19日発表の基本方針に、自ら指導力を発揮し処理加速策を盛り込めるかどうかがポイントになっている。
米国から14日に帰国したばかりの小泉首相は翌15日、都内のホテルで、日朝会談に向けての勉強会の前に、不良債権処理問題に関して、竹中経済財政担当相と柳沢金融担当相と別々に会談した。
政府関係者によると、竹中経済財政担当相が、不良債権の抜本処理を進言したのに対し、柳沢金融担当相は、現状が金融危機に至る状況にないことを強調、その上で、金融庁が既に打ち出している、新規発生不良債権の5割を1年で、また8割を2年で処理するルールによって2004年度には不良債権問題が正常化する見通しであると説明した。
特に、柳沢金融担当相は、会談に同席した福田官房長官が「あちこちから、不良債権処理のためには公的資金注入が必要との話が来ている」と発言したのに対し、「公的資金注入は危機対応のためのものであり、注入となれば日本の金融は有事ということになる。軽々しく言うべきでない」という趣旨の発言をしたという。
その一方で、柳沢金融担当相は、首相指示に対して、金融庁で処理加速策の具体的検討を約束した。
ただ、この会談での柳沢金融担当相の発言からすると、金融庁の事務当局がどこまで踏み込んだ加速策を出すかどうかは現時点で未知数だ。
金融庁幹部によると、金融庁はすでに、小泉首相がブッシュ米大統領との会談で、「日本の金融機関の不良債権処理を加速させる」と発言したのを受けて、現在の枠組みの中で何が可能なのか検討に入っている、という。
柳沢金融担当相の指示を受けたことから、金融庁当局は正式に具体的検討に入ったが、その金融庁幹部は、再度の公的資金注入については「かえって金融機関の自助努力の機運をそいでしまう」とし、現状のルールの枠組みを崩さない範囲で、不良債権処理を早める方策を打ち出したい考えだ。
ただ、政府関係者によると、柳沢金融担当相自身も、金融機関の不良債権処理は進んおり、引き当ても行われていると認識。仮にこのルールを前倒したとしても、現実的に処理を進めるのは困難との懸念を持っている、という。
金融庁の別の幹部も、「現状のルールでも、金融機関は手続き的に限界の状況にある」とし、加速策の策定に頭を悩ませている。
現状で、金融庁が従来の不良債権処理の枠組を維持した範囲で、どれだけ実効性があり、現実的な方策を編み出せるかは、手探りの状況でいることだけは確か。
竹中経済財政担当相と柳沢金融担当相の不良債権処理をめぐる対立のなかで、小泉首相自身が、どちらの考えに近いのかは不明だ。柳沢金融担当相や金融庁が依然、不良債権処理加速策について、慎重な姿勢を見せるなか、19日発表の基本方針のなかに最終的にどこまで踏み込んだものを盛り込めるかどうかは、小泉首相自身の指導力にかかっている、との見方が金融関係者らの間で強くなっている。