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株価急落や米国経済の減速で、「持ち直し」の動きがようやく見え始めてきた日本経済に再び暗雲が漂い始めている。政府はデフレ対策として「緊急対応戦略」を10月にも取りまとめるほか、日銀も一段の金融緩和を視野に入れて17〜18日の金融政策決定会合に臨むが、低迷日本を打開できるかは不透明だ。有識者たちが考える日本再生への処方せんを紹介する。内閣府経済社会総合研究所長も務める浜田宏一・エール大教授。
――景気先行き懸念が高まっています。
◆輸出の回復で景気底打ち感が出ていたが、個人消費や設備投資の増加につながる前に、米経済の減速が見えてきた。日本には内需中心の成長が求められ、それ自体は中期的に望ましいが、短期的には厳しい局面に入っている。
――90年代以降、経済成長が止まっていませんか。
◆銀行の護送船団方式など経済が右肩上がりの時のシステムがうまく適合し過ぎたことが、対応の遅れにつながった。その結果「幻滅の90年代」になった。企業も銀行も、先輩たちが言う通りに経営すれば良い時代ではもはやなくなった。
――何が問題なのでしょう。
◆最近の株価下落もそうだが、これはデフレの一側面でもある。ゆるやかな下落でも、物価が下がり続けると一般的に考えられるならば、企業の期待収益は減少し、地価や株価も下がるのは当然だ。デフレを止めなければ、資産デフレも止まらない。構造改革や不良債権処理という正しい政策を進めようとしても、デフレが障害になる。デフレはインフレ同様、経済全体にマイナスに働くが、国内でなかなか認識が共有されない。
――なぜ理解されないのでしょうか。
◆企業収益悪化で雇用問題を伴うのがデフレだが、学者や役人や日銀職員は職を失わないから実生活では困らない。財界人にも理解されていないように思う。日本にはまだ経済学が普及していないとさえ感じる。
――解決策は。
◆物価はモノと貨幣の交換比率なので、デフレは要因は50%は実物経済、50%は金融だ。今、国民はみな貨幣にしがみついて、価値の下がる土地や株を買おうとはしないし、消費にも向かわないという「流動性のわな」にはまっている。デフレは貨幣現象なのだから、日銀は国民が貨幣にしがみつくのをやめるような金融政策の新機軸を打ち出す必要がある。
日銀は非伝統的手法を採用すると将来、インフレになると懸念するが今は副作用はない。できるはずがないとの反論も聞こえるが、副作用がないのに薬を出すのをためらうべきではない。
――具体的な政策は?
◆長期国債の買いオペの額は増やすことが可能だ。また、為替介入により増加した貨幣供給を日銀は吸収して効果を中和しているように見える。当局がデフレ克服に背を向けるような姿勢はやめなければいけない。インフレ目標策を導入して信認向上にも努めるべきだ。それでも、デフレが止まらなければ、整理回収機構(RCC)を通じて、日銀が不良債権を買い取る手もある。経済の患部である不良債権問題があるウミの除去と、デフレ解消にもつながる一石二鳥の効果がある。
【聞き手・白戸秀和】