現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
政府は4日、銀行が不良債権処理に伴い支払った税金が将来戻ってくることを見込んで自己資本に計上する「繰り延べ税金資産」を、厳格に点検する方針を固めた。大手行では、同資産が自己資本の15〜30%を占め、海外からも「邦銀の自己資本かさ上げ」と批判されていた。厳格にチェックすることで大手行が資本不足に陥るような場合には、政府は公的資金の再投入に踏み切る方針だ。
竹中平蔵金融・経済財政担当相が3日発足させたプロジェクトチームでも、公的資金投入の有力案として検討されるとみられる。
金融相は、不良債権処理を加速させるため、(1)銀行の資産査定の厳格化(2)銀行の自己資本点検(3)企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化――を進める方針で、税金資産のチェックは、この方針に沿って実施する。
銀行の自己資本は資本金や剰余金、過去に投入された公的資金、繰り延べ税金資産で構成。大手金融5グループ(みずほ、三井住友、三菱東京、UFJ、りそな)の02年3月期の自己資本は総額31・4兆円だが、このうち繰り延べ税金資産が7・7兆円を占める。
ただ、税金資産は、資本に計上した翌年度以降に支払う税金を軽減する形でしか還付されず、赤字で利益がなければ「見せかけ」の自己資本になる。大半の大手行の02年3月期決算は不良債権処理や株安で赤字だった。
さらに、日本の銀行は「今後5年分の利益見込み額」を上限に、繰り延べ税金資産を自己資本に含めることができるが、米国は「今後1年分か自己資本の10%まで」しか算入を認めていない。このため、速水優日銀総裁らが「国内の基準は甘い」と疑問を投げかけているほか、米国も「邦銀の自己資本比率は財務実態を正しく反映しているとはいえない」と指摘、資本拡充策が急務との見方を示している。
■繰り延べ税金資産■ 銀行が融資先企業の倒産に備え、事前に損失として計上する引当金は課税されるが、倒産すれば実際に損失が発生して非課税扱いとなり、税金が戻る。銀行の財務内容悪化を防ぐため、将来見込まれるこの税金還付を「繰り延べ税金資産」として、自己資本に計上することを認めている。