現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
たにんさん、こんばんわ。
「改革コーラン」の部分とたにんさん自身の部分に分けてレスします。
>#デフレの定義と実体、原因についてですが、改革コーランから(笑)引用します。
「改革コーラン」という名称は、うってつけというか笑えるというものですね。
>デフレの定義は、持続的な物価下落という意味である。
管理通貨制でデフレをこのように定義することには本質的な危うさを感じますが、経済事象としては問題ないと思われます。(通貨自体に価値実体がないのですから、デフレやインフレといっても、経時的な比較では言えても、経時的&絶対的なものではありません)
>デフレの要因は、@安い輸入品の増大などの供給面の構造要因、A景気の弱さからく
>る需要要因、B銀行の金融仲介機能低下による金融要因、の3つがあげられる。
これまでも書いてきたように、このようなデフレ要因は認められません。
>デフレは、主に次の2つの経路を通じて、企業の設備投資を抑制させるなど日本経済
>を下押ししている。@過剰債務を抱えた企業の債務負担を増加させる。A実質金利や
>実質賃金の上昇が企業の収益を圧迫する。
デフレは、債務を抱える企業だけではなく、債務がない経営の企業にも打撃を与える疫病です。
産業資本であれば、G→W→G’という資本の形態変化の過程があります。
通貨的資本を生産手段・原材料・労働力など財的資本に転換し、それらの結合的活動を通じて生産した財を販売して最初の通貨的資本に戻すという形態変化の過程です。
デフレは、経時的な財の価格下落ですから、生産した財を販売しても、生産活動を行うために財に転換した資本に相当する通貨を得られない可能性を示しています。
言い換えれば、供給に1億円を注ぎ込んだのに、市場にある需要は9千9百万円しかなく、供給に費やした資本を回収できない事態があるということです。
もう一つ、現在では、Wに占める固定資本(生産設備)の比率が高く、それは10年といった期間で償却されるものです。
ある財を生産する生産設備が5年前に10億円だとすると、現在は、性能も若干よくなって9億5千万円とかになっているわけです。
人件費や原材料は現在価格で購入できるものですから、5年前の生産設備を保有する企業と現在の生産設備を保有する企業が競争すれば、後者のほうが価格競争力で優位になります。
合理的な経営者であれば、これら二つの事態を見通すので、生産活動を躊躇したり、設備投資を控えるようになります。
このような見通しは、債務があればより苛酷になりますが、債務がなくても同じ論理です。
デフレが経済活動に及ぼすこのような根源的な規定性を抜きにして、デフレという経済事象を語ることはできません。
>日本経済が10年の長期にわたって低迷しているのは、需要が不足しているからと言う
>より、基本的には潜在成長率が低下して供給面が弱くなっているからである。
>そのために、政府が度重なる景気対策で巨額の公的投資等の需要をつけても、停滞す
>る経済を引き上げることができなかった。
経済論理の基礎も弁えていない支離滅裂な分析です。
潜在成長率の要素を生産性上昇率と人口増加だと考えたとき、「巨額の公的投資等の需要をつけても、停滞する経済を引き上げることができなかった」ことが、供給面の弱さにつながるわけがありません。
需要が政府部門の支出で巨額に追加されたときに供給面が弱ければ、事業が遂行できなかったり、財の価格が上昇することになります。
言ってる内容は、インフレになる説明としては意味があっても、デフレになることの説明にはならないものです。
「巨額の公的投資等の需要をつけても、停滞する経済を引き上げることができなかった」のは、ゼネコン・鉄鋼業・セメント業・輸送業などが供給力過剰にあり、政府部門の需要のほとんどが生産性の維持や企業存続の維持さらには債務の返済ということに貢献したからである。(地価の下落下支えに使われたことは別として...)
公共事業関連業種の供給力をそこそこ機能させることにしか貢献しなかったから、厖大な赤字財政支出が経済の引き上げにつながらなかったのである。
>したがって、今後の成長が高まるためには、潜在成長率が高まらなければならない。
>そのためには、日本経済全体の生産性を高める構造改革を推進することが重要である。
>構造改革は、労働力、経営資源、資本、土地といった我が国が持てる貴重な資源を、
>生産性の高い分野に振り向けることによって、日本経済の潜在成長力を高める。この
>ように、日本経済の供給力を引き上げる構造改革は、同時に、民間需要の持続的な拡
>大を伴う。それは、収益性の高い民間投資が活発化し、また、消費者の将来展望を開
>くことによって、消費が持続的に回復するからである。
前提条件が誤っているのだから、そこから導き出される政策提言を云々しても仕方がないのですが、前提は抜きにして取り上げます。
「構造改革は、労働力、経営資源、資本、土地といった我が国が持てる貴重な資源を、生産性の高い分野に振り向けることによって、日本経済の潜在成長力を高める」というのなら、経済関係を生業にしている人なら、構造改革主義者でなくとも語るものです。
生産性が高いと言われる業種もしくは企業であれば利益を上げているはずですから、ことさら「構造改革」という国策に拠らずとも、自主的主体的に、「労働力、経営資源、資本、土地」を吸収しているはずです。
潜在的に生産性が高い分野というものがあるのなら、それを明確に示せば、“余剰通貨”を持ち他の分野ででも稼ぎたいという企業は存在するのですから、投資を行います。
(投資が行われていない理由が規制であれば、それを示していただければ、規制を解除すべきか、規制のなかで現状とは違った手法を採るべきかをレスします)
「デフレ不況」というマクロ状況は、ほとんどの企業に、設備投資や新規投資を躊躇わせるものです。
知識と言葉をつなげるだけで現実の経済問題を解決できる政策提言ができるのなら、「失われた10年」で終わり、現在の「デフレ不況」はなかったはずです。
結構な回数のやり取りをしていますので、「改革コーラン」の内容のおかしさをまず理解されることをお奨めします。
(失礼ながら、「改革コーラン」の内容を“信仰”しているのなら、やり取りを続けてもあまり実りがないと思われます)