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竹中平蔵経済財政相が金融相を兼任して以来、大手銀行や大口債務企業の株価が急落している。金融相は週内にも、新設する「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」で不良債権処理加速策の練り直しを始めるが、ペイオフ延期の方向が3日、固まったことで「政府は一時的に銀行経営が不安定になることまで想定して徹底した処理策に動く」(HSBC証券の野崎浩成シニアアナリスト)との見方が広がっている。
「豹変」
公的資金注入に加え、ペイオフについても「(延期すれば)銀行経営の健全化の遅れにつながる」として否定的だった柳沢伯夫・前金融相は金融庁を去った。市場では、竹中新金融相の下で「実際には貸出先企業にも配慮して慎重に対応してきた金融庁の態度が豹変(ひょうへん)するのでは」(BNPパリバ証券審査部の小田切尚登部長)との観測さえ出てきている。
市場では竹中金融相の就任以来の混乱を「竹中ショック」と呼んでいる。作業部会のメンバーに、小泉純一郎首相に大口債務企業問題の解決を最優先するよう提案した、とされる木村剛・KFi代表の名前が浮上した後の銀行株急落も含め、これまでにUFJ、みずほホールディングスの下げ幅が25%を超えるなど動きが激しくなっている。
竹中金融相は、金融安定化の3原則として「資産査定の厳格化、自己資本の見極め、企業統治の徹底」を挙げており、金融庁がまず、着手するのは銀行の貸出債権に対する引き当て強化となる見通し。「極端な言い方をすれば、ペイオフを延期すれば銀行が潰れても預金は全額保護されるため、思い切った査定強化に動きやすくなる」(BNPの小田切氏)という。
「戦々恐々」
HSBCの野崎氏は、問題の先送りとも指摘される「大手銀行が再建計画の策定に伴い金融支援を実施した大口債務企業の計画前倒しや、自己査定のやり直しなどが課題になってくるだろう」と見通している。こうした動きに伴い、すでに債務企業・業界の淘汰や再編が加速を予見した、昨年末以降の「信用リスクに敏感な市場」が再来している。
こうしたなか、銀行界はなりを潜めている。昨秋以降に金融庁が実施した特別検査も踏まえ、厳格な自己査定を行っていると主張する大手銀行は、今のところ「公的資金は必要ない」(UFJ銀行の寺西正司頭取)との姿勢を変えていない。銀行に近かった柳沢氏が去り、理論家の竹中氏や金融PTのメンバーがどのような政策を打ち出すか、戦々恐々としているのが実態のようだ。
もっとも市場では、「短期、中期的には経営不振企業の淘汰で痛みを伴う銀行株に投資する動きは敬遠されるだろうが、一気に膿(うみ)を出したうえで、将来の回復シナリオを描くことができれば、株価も底を打つだろう」(HSBCの野崎氏)との前向きな声もある。ただ、それには、経済産業省、国土交通省など政府一体の産業再編、雇用対策が大前提となる。