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小泉改造内閣で、経済財政、金融両部門の“ダブル司令塔”となった竹中平蔵経済財政・金融担当相に対し、与党が不満を爆発させている。竹中氏が金融担当まで兼務すれば、省庁再編を前に解体された旧大蔵省のような巨大権力が復活、“財政構造改革論者”の竹中氏の掌中に集中するからだ。経済が危機的な状況の中、一刻も早いデフレ対策を求める自民党幹部らからは一斉に“御用学者”竹中氏の重用に「独裁ノー」の火の手が上がった。
「改造で金融と経済財政の担当閣僚を一緒にしたが、金融問題と経済財政問題を分けた趣旨に反するのではないか」。自民党の野中広務元幹事長は1日の総務会で、竹中氏の処遇を強く批判した。青木幹雄参院幹事長も同日の会見で、「野中氏の言うことは正論だ」と呼応、与党内の“竹中包囲網”が一斉に敷かれた格好だ。
いわゆる「財政と金融の分離」は、両部門を所管し、経済運営で絶大な力があった旧大蔵省の反省を踏まえて導入された。その経緯を踏まえれば、経済財政諮問会議で予算編成の大枠づくりを担う竹中氏が、金融担当まで兼務することは筋が通らない。「行司役と力士が同じ人物で両方できるのか」(財務省幹部)という「?」は与党内だけではない。
与党側の懸念の底流には、竹中氏への根強い不信感もある。竹中氏の経済戦略は、米国型市場主義経済をベースに構造改革と財政規律を重視するというもので、公共事業や中小企業保護など積極財政論の与党とは真っ向から対立、「緊急デフレ対策など与党側の要望をまったく具体化しようとしない」(与党幹部)との強い不満がある。
特に竹中新金融相が進めることになる不良債権処理の促進は、短期的に企業倒産や雇用悪化などのデフレ圧力を強めかねないだけに、「デフレ脱却の趣旨から財政出動も視野に、経済対策をしっかりしてほしい」(自民党の高村正彦元外相)と、デフレ対策の具現化や補正予算編成を求める圧力が高まっている。
しかし、これまでの経済運営を見ても、竹中氏が持論を曲げる可能性は「皆無」(与党筋)。与党としては、柳沢伯夫前金融担当相の更迭実現を機に、首相の経済政策の転換を期待する向きもあったが、「これでは最悪だ。道楽学者にこの国の経済の命運をすべて委ねていいのか」(抵抗勢力幹部)と、官邸サイドとの軋轢はむしろ加熱している。