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やっぱり政府の「景気底入れ宣言」は幻想だった。リストラ、賃下げの台風が吹き荒れ、もともと“実感なき底入れ”ではあったが、平均株価が一時9000円を割り込む中、景気腰折れの懸念が高まってきたのだ。政府は20日に緊急経済対策を取りまとめる一方、9月の月例経済報告で景気判断を下方修正することも検討している。ここにきて慌てふためく政府だが、株安は、景気底入れを喧伝し、経済無策を続けてきた小泉政権自らが招いたツケなのだ。
「株安によって景気が悪化するというのは本末転倒。株価は景気の先行きを映す鏡であり、今回の株価急落は景気の急速な悪化を織り込み始めたということに過ぎない。株価は先行き不安のシグナルをずっと送り続けていたのに、政府はそれを無視してきた」(民間エコノミスト)
政府は5月の月例経済報告で、「景気底入れ宣言」を出し、7月には景気判断を「もち直しの動きがみられる」と上方修正している。これを裏付けるように、国内総生産(GDP)は、今年1−3月期がマイナスゼロ%成長となり、4−6月期は5・4半期ぶりに0.5%のプラス成長を記録している。
ただ、一方で、失業率は5%台の過去最悪水準で推移、企業倒産も最悪のペースで増え続け、賃上げ率は過去最低を記録。サラリーマンを取り巻く雇用・所得環境は悪化の一途で、“実感なき底入れ”だった。
景気の山谷では、「昨年12月が底」というのが、政府や民間エコノミストのほぼ一致した見方である。ただ、「底入れして回復に向かうというよりも、踊り場にあるだけ。底割れして再び景気後退局面に入る可能性もある」(大手証券調査部)というのが現状だ。
今回の株安は景気底割れを織り込み始めたものだが、株安が実体経済を直撃し景気悪化に拍車をかけるという悪循環を招いているのは確かだ。
株安は企業経営者、消費者のマインドを冷え込ませ、設備投資や個人消費を一段と減少させる。さらに、銀行を含め、一般事業会社が保有している株式に多額の評価損が発生。その損失処理で赤字に転落するなど収益の悪化は必至だ。収益悪化はクビ切りや賃下げによるリストラを加速させることになる。
民間シンクタンクの日本総合研究所の試算によると、株価が10%下落すると、その年度のGDPを0.1%、翌年度は0.3%も押し下げるという。政府の経済見通しでは今年度はプラス0.0%を予想しているが、このまま株価低迷が続けば、マイナス成長への転落は避けられない。
さすがの政府も重い腰を上げざるを得ない状況になってきたようだ。今月中旬に発表する9月の月例経済報告では、株安による先行きリスクに言及し、景気判断を下方修正する方向で、検討しているという。
また、20日には緊急経済対策を取りまとめる方針だ。柱は(1)3兆円の公的資金による株価買い支え(2)整理回収機構(RCC)の機能強化による不良債権処理の促進(3)先行減税の前倒し−など。だが、市場の反応は冷ややかだ。
「政府が人為的に株価を操作しようという発想は捨てるべき。一時的に持ち直しても、投資家は『しょせんは管理相場』と見透かしている。これでは長期保有を目的とした本格的な投資資金が株式市場に入ってこない」(準大手証券アナリスト)
「不良債権の買い取りなど小手先の策を弄している段階ではない。銀行への公的資金の再注入で抜本処理することが不可欠」(外資系証券金融アナリスト)
小泉政権の危機感の欠如が、株安と景気悪化に拍車をかけているのは、間違いない。