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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは すでに指摘したように、02年度は何とか政府目標のゼロ成長を達成できそうであるとしながらも、「ゼロ成長までの『糊しろ』は極めて小さい」と語る。雇用リストラの本格化による個人消 費の失速や、設備投資の回復力低下が現実のものになれば、マイナス成長となる リスクは十分にあるからだ。政府目標であるゼロ成長の達成が明らかに困難になれば 、現状で想定されている、「財政健全化路線に拘泥することは不可能であろう」。そうなれば、「足元で策定が進んでいる、一時的な株価対策、流動性対策を超えた、政策転換が要 求されてくる可能性がある」と言う。
<10月末が、政策転換にとって1つの大きな節目>
その場合、政府とすれば、国際政治的に「外需の失速可能性」を簡単には 認められないという事情がある。米国政府が景気の趨勢的な悪化を認め、米国自身、景気対策に乗り出さない限り、日本政府が勝手に「世界経済失速リスクによ るマクロ政策の方向転換」を打ち出すことはできない。従って、1つの焦点は、 「どのタイミングで、個人消費の変調を確認できるか」である。最近では、これ に加えて、製造業の設備投資にいつ大きな変調が生じるか、も焦点になりつつある。 政府としては、すくなくとも9月のデータは確認したいところ。その意味では、基本的に、9月の家計調査、各種小売統計が出揃う10月末が、政策転換にとっての1つの大きな節目になる。このように、その場しのぎの株価対策を越えた「政策転換の可能性」は、従来よ りも上昇していると言う。
<補助金の削減による減税が求められている>
個人消費の失速等による、早期の景気腰折れは、減税規模の拡大や減税内容の変更、あるいは、補正予算導入の議論、に繋がる可能性がある。しかし、「これらのいずれも、景気を持続的に回復させる力はない」と言う。財政政策に求められて いることは、無駄な歳出の削減による、小さな政府へのコミット。補助金の削減による減税、そして、金融政策がそれを側面か ら支援することが求められている。しかし、今の財政政策には、「歳出の抜本的 な見直し」の議論が完全に欠落している。また、現下で必要とみられる個人向け 減税の話も全くない。さらに、日銀のスタンスに大きな変化はない。輪番オペの 2000億円程度の増額が、今後、年度末にかけて行われる可能性はあるが、それ以 上の大きなものは出てこないであろう。非伝統的な金融緩和の議論はいまや停止 しているが、それは、「(長期金利のオーバーリアクションを嫌う)財務省が乗り気ではないから」だと言う。仮に、秋口にかけて、財政政策の転換や、量的緩和の一段の拡大といった議論が 一段と活発化する可能性があるといっても、「それが日本経済のブレークスルーに なることはないだろう」。現在の金融・財政政策スタンスでは、景気の腰折れリス クを回避する力はないし、また、そうしたリスクが顕在化した場合にも、その悪化を防ぐ力はないであろう。「その場しのぎの株価対策(流動性対策)を継続させても、日本経済の本質が変わるわけではない」と言う。