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上場企業の創業者やその一族、役員など古くからの大株主が、全持ち株を証券会社に売却して翌日に買い戻す「クロス取引」が急増している。6月から今月7日までの間に、野村、大和、日興コーディアルの証券大手3社が受けたクロス取引は、発行済み株式数の5%を超えるケースだけで121件、計約3億1500万株に達した。
背景に、来年1月から証券税制が変更されることがある。現在は、売却額の1・05%が天引きされる源泉分離課税と、売却益(売却額から取得価格を引いたもの)をベースに確定申告する申告分離課税のどちらかを選択できるが、税制改正で申告分離に1本化される。
申告するには、取得時の株価を明らかにする必要があるが、創業者などの場合、取得価格は額面価格であるなど、現在の株価に比べて大幅に低いことが多い。税制変更後、申告分離の税率は20%(当初3年間は1年以上保有の株は10%)となり、売却時の株価が取得時を上回っていればいるほど、源泉分離と比べた場合の税負担が大きくなる。
クロス取引で株価を上げておけば、将来売却した時の売却益が圧縮され、税額が低く抑えられる。例えば、50円で1000株取得していた場合、株価が1000円に上昇した時点で売却すると、税額は源泉分離では1万500円だが、申告分離(税制変更後)では9万5000円に跳ね上がる。
クロス取引で取得価格が900円になっていれば、申告分離での税額は1万円にとどまる。このため、源泉分離方式が残る今年中にクロス取引を実施しようとする動きが増えており、証券業界では、年末にかけてクロス取引がさらに増加すると見ている。