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小泉首相の私的諮問機関「郵政三事業の在り方について考える懇談会」(田中直毅座長)が6日、首相に提出した最終報告書は、来年4月発足の日本郵政公社を民営化する場合の経営形態として複数案を示し、郵便貯金、簡易保険についても各論を併記するなど、論点整理的な性格が強い。首相は公社発足までに民営化の道筋をつけたい考えだが、民営化形態の絞り込みでは与党側の抵抗が強まるのは必至で、首相のもくろみ通りに進むかどうか予断を許さない。
報告書が論点整理に力点を置き、具体的な民営化方法の結論を先送りしたのは、報告書が「かつての国鉄民営化とは背景が異なり、国民的議論が十分に成熟しているとは言えない」と指摘したように、世論の盛り上がりが不十分な中で確定的に結論を出しても、実現は困難との判断があった。
首相が5月に田中座長に複数の民営化案を示すよう要請し、経営形態に幅を持たせたのも、報告書の取りまとめ段階で郵政族の“介入”を招くのは得策ではないと考えたからだ。首相周辺からは、早い段階から「懇談会では民営化の必要性を示してくれれば十分」との声が漏れていた。
このため、報告書の内容そのものについて、郵政族からは目立った不満や反論は出ていない。
むしろ、報告書が、郵便局が過疎地などの地域で果たしてきた役割の重要性を強調し、全国の郵便局網や郵便の全国均一サービスの必要性を素案以上に強調したことで、「性急な民営化にブレーキをかけており、小泉首相の在任中に民営化はできなくなった」(自民党中堅)と受け止める声もある。
とはいえ、初代の公社総裁に民営化論者の生田正治・商船三井会長を起用したことに象徴されるように、首相は公社を「民営化の準備機関」と位置づけており、公社の中期経営計画を検討する郵政公社設立委員会にも民間から民営化論者を迎え、民営化を前提とした議論を進めさせる方針だ。首相と郵政族の対決は、設立委員会の人選や、中期経営計画の具体的な内容に主戦場を移しつつある。
ただ、中期経営計画を承認する権限を持つ片山総務相は、「設立委は粛々と事務的に公社移行の準備を進めるところだ」として、設立委で民営化形態の結論を出すことには否定的だ。
郵政民営化論者からも、「設立委に議論させれば、民営化の是非論に逆戻りする」(民主党の松沢成文衆院議員)との懸念が示されている。
この点について、首相は6日夜、首相官邸で記者団に「郵政公社の中でも、経済財政諮問会議でも(議論)する。(設立委での議論も)なじむ」と述べ、複線的に民営化策を具体化していく考えを示した。
(9月6日23:07)