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▼デフレ危機/日本経済は「デフレの罠」で沈んでいく!
BNPパリバ証券会社・経済調査部チ−フ・エコノミストの河野龍太郎さんは、「日本経済は『デフレの罠(わな)』に陥っている」と警鐘を鳴らす。4-6月GDPは、5四半期ぶりにプラス成長になったという意味では「景気回復」と呼ぶことができるが、本来の景気回復とは「潜在成長率を持続的に上回ることで、後退局面に広がった需給ギャップが縮小する局面」をいう。需給ギャップが縮小しなければ、デフレが和らぐこともない。日本の潜在成長率は1.5〜2.5%と推定されるため、4-6月期も需給ギャップも縮小しなかった。
<「デフレの罠」に至る3つの経路>
では、「デフレの罠」は実際にはどのように進行するのだろうか。河野さんは次の3つを挙げる−−。
(1)国内企業の売上げや利益がデフレによって圧迫されている。「輸出の高い伸びが期待できないなかで、デフレが内需回復の足を強く引っ張る」と言う。企業経営者は利益や売上げに見合った適正な債務水準を維持するために、手元資金が増加しても借入金の削減を優先し、設備投資は抑制される。債務を圧縮しても、デフレによって適正な債務水準が再び低下するため、デフレが続く限り、債務の返済が続くという”ジレンマ”に陥る。つまり、「デフレによる実質債務価値の増大が続く限り、設備投資の本格回復は期待できない」と言う。
(2)デフレによる実質金利の上昇も設備投資を抑制する。実質金利の上昇は債務者=企業から預金者=家計部門への所得移転の発生を意味するが、「成長の源泉である企業と、その支出である設備投資を抑制する」
(3)デフレ経済下では企業は雇用コストを削減するため、採用抑制を通じて雇用回復を抑制する。雇用が回復しなければ、消費の本格回復はあり得ない。「これまで失職を免れてきた家計部門では、デフレが実質購買力を支えてきた面もあったが、名目賃金減少幅が拡大し始めており、デフレによる消費した支え効果も失われつつある」。さらに、デフレは若年・中堅層から高齢者へと、預貯金・ローン・年金制度などを通じて強制的な所得移転を引き起こしており、世代間の所得分配を大きく歪める原因のひとつになっている。
<成長率見通しを2002年度−0.1%に下方修正>
これらの結果、今年前半の大幅な輸出拡大による製造業セクターの収益回復は、設備投資や個人消費の回復へあまり波及しない。輸出増加→生産増加→企業収益増加→設備投資・個人消費増加、といった回復の波及経路が、デフレによって阻害されている。GDPの推計方法が大幅に変更されたこともあるが、唯一の頼みであった米国の成長率見通しを下方修正したことに伴い、成長率見通しを下方修正した。新しい成長率見通しは2002年度マイナス0.1%、2003年度はプラス0.4%。「2002年後半は輸出の伸びが大幅に鈍化。デフレが内需の自律的回復を抑制してお り、外生的なサポートがなければ、循環的な回復も難しい」と言う。なお、今後3四半期の見通しは、2002年7-9月が前期比マイナス0.3%、10-12月が同プラス0.1%、2003年1-3月が同プラス0.3%と、「ゼロ近傍の数字が続く見通し」としている。
http://www.yen-dokki.com/main/news_s.html