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欧州金融16グループ6月中間、不良債権処理重しに――増益は2グループ。
【ロンドン=佐藤大和】欧州の主要金融グループの二〇〇二年六月中間決算は、十六グループのうち十四が減益、または赤字に転落した。米通信大手ワールドコムなど相次ぐ大型倒産で不良債権処理額が増え、世界的な株安も打撃となった。自国経済の回復が遅れているドイツ勢の不振が際立ち、新たな金融再編も取りざたされている。
先週までに中間決算を発表した金融グループのうち、純利益が前年同期より増えたのはオランダ最大手INGと英銀二位のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の二グループにとどまった。各国中銀の低金利政策で前年に比べて資金調達コストが低下したにもかかわらず、大半の銀行が減益になったのは、不良債権処理が重しになったためだ。
英ロイズTSBやオランダのABNアムロなどは経営破たんしたワールドコム向け債権を償却。高い収益力で欧州金融界の「台風の目」になっていたサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)などのスペイン勢は、アルゼンチンなど中南米向け不良債権の増加が収益を圧迫し失速した。
フランスでは巨額負債を抱え再建中の総合メディア企業ビベンディ・ユニバーサルへの三十億ユーロ(三千五百億円)の追加融資にBNPパリバなどが応じるかが焦点になっている。
不振のドイツ勢
「海外の投資環境が厳しさを増している」(英バークレイズのバレット最高経営責任者)中で、収益源となるのは国内業務。ドイツでは今年に入って建設のホルツマン、メディアのキルヒグループなど国内の大手企業が相次ぎ破たんし「年間四万社の倒産が予想される」(ヒポ・フェラインス)という厳しい状況。
ドイツのリテール(小口金融)市場は中小金融機関の存在感が大きく、大手銀の金利決定力が弱い。四行とも黒字を維持したとはいえ利益水準は低く、「勝ち組の英、仏勢と負け組のドイツ勢という構図」(格付け会社フィッチ)が浮き彫りになってきた。
新たな買収観測
クレディ・スイスはただ一社、最終赤字を計上した。世界的な株安で生命保険部門の保有株式に巨額損失が発生、減配を検討する。経営陣への批判が強まっており、市場ではライバルのUBSなどによる買収観測まで浮上している。
再編が進んだ英国では、これ以上の寡占化を防ぐため、政府が大手銀による国内での合併・買収(M&A)を打ち止めにした。ロイズTSBやRBSは大陸欧州銀の買収検討を表明している。