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厳しい残暑のなか、ゴルフ場経営が氷河期に突入している。会員権相場はバブル崩壊後、下降線をたどるなか、預託金の償還がピークを迎え、資金繰り悪化のゴルフ場が続出中なのだ。さらに、プレー人口も減り続けているほか、猛暑の直撃まで受けてしまった。“三重苦”に見舞われ、年半ばにして、過去最高を記録した倒産件数(7月末)もかなり更新しそうな気配である。
「景気が一向に上向かないことから、利用者は減り続けている。さらに、バブル経済が真っ盛りのころ、会員権が売られたゴルフ場の預託金返還が資金繰りを悪化させている」。業界関係者はゴルフ場の経営環境の厳しさを口にする。
こうした利用者減と預託金返還問題がゴルフ場を直撃している。今年の倒産件数は7月末の時点で早くも67件となり、昨年を上回った。大型倒産も目立ち、信用調査機関によると、負債総額も1兆1140億円に及び、これまた昨年の1777億円を超えてしまったのだ。
バブル崩壊以降、プレー人口は減り続け、ピーク時には総入場者数が1億200万人を突破していたが、今や9000万人程度に減少。
昨年の入場者数は微増したという調査結果もあり、わずかながら明るい兆しもみえるのだが、今年は猛暑まで追い打ちをかけた。
「毎年夏は、来場者は減るが、今年は猛暑の影響で、特に首都圏のゴルフ場は大幅に減ったところが多かった」(大手ゴルフ場経営関係者)
千葉県内の名門コースは「8月の来場者数は暑かった割には減っていない」としているが、「暑さに参っていたプレーヤーが多かったから、その反動で9月は減ってしまうかも」と懸念。
さらに、預託金の返還期も昨年からピークを迎え、全国のゴルフ場からは大悲鳴が聞こえてきそうだ。
会員権売買大手「桜ゴルフ」の佐川八重子社長は「全国約2500のゴルフ場のうち、バブル期以降にできたのが3分の1程度ある。そうしたゴルフ場がオープンから10年たって、預託金償還期に入っている。その預託金総額は10〜15兆円にものぼる」と指摘。来年までは、毎年1兆円以上の償還が必要になるとみられているのだ。
会員権の高騰時、会員は売れば利益があった。だが、会員権相場も急降下したことから、会員は預託金の返還を求めるようになる。
しかし、ゴルフ場は預託金をコース造成などに使ってしまっているうえ、入場者の伸び悩みで赤字経営が多く、預託金を返せない。なかには「ゴルフ場の9割が赤字」と指摘する関係者もいるほどで、結局、破綻してしまう。
破綻には、他の要因もある。「先月、会社更生法を申請した『地産』のようにゴルフ場経営会社が本業以外の失敗で破綻してしまうという例も多い」(佐川社長)。
地産は、創業者の竹井博友氏がバブル期に金融機関から株式投資資金として借り入れた多額の借金を債務保証し、債務超過に陥った。
佐川社長は「安易な和議や民事再生法の適用申請は、経営者の責任を明確にすることなく、多額の“出資”をした会員の切り捨てだ。会員の権利をないがしろにしていると、ゴルフ離れを加速しかねない」と憤る。
預託金返還を抱えないパブリックコースも“地盤沈下”とは無関係でいられない。「都市から離れたところや過当競争の地域は厳しい」(大手ゴルフ場経営関係者)。
系列ゴルフ場45のうち大半がパブリックのコクドも今年からプレー料金を大幅に下げ、集客に必死だ。「もともとパック料金では値ごろ感を打ち出していたが、正規料金との差が開きすぎた。その差を少なくし、プレーヤーから高いという印象を拭い去ってもらえれば…」(コクド)
いずれにせよ、業界関係者はゴルフ場の今後について、「環境が劇的に良くなる要素が今のところない。今年後半にかけ、破綻するゴルフ場は後を絶たないだろう」と警鐘を鳴らしている。