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財務省が庶民からカネをかき集めようと躍起になっている。新たな個人向け国債を来年2月にも売り出すのを前に、人気タレントの藤原紀香さん起用で大キャンペーンを展開し、利子も非課税の方向で検討している。平均株価の一時9000円割れの“東証崩壊”をよそに、有名人を広告塔に使ってお得度をアピールするやり口は、悪徳商法に似ており、国の財政悪化を象徴する。石原慎太郎知事への信頼度アップもあって都債があっという間に完売したように、うまくいくかどうか。
新たな個人向けの国債は、国債の電子決済などを盛り込んだ「証券決済システム改革法」が今年6月に成立したのを受けて発行される。
満期は10年で発行額は3000億円程度。買い入れ単位をこれまでの5万円から1万円と低くし、庶民にも買いやすくしたのが大きな特徴である。
財務省は6月以降、紀香人気を利用し、「国債っていいかも」のキャッチフレーズで大キャンペーンを展開している。
総額3億5000万円もの宣伝費(税金)を投じ、ポスターを約7万枚作って駅頭などに張り出したりテレビCMを流したりと、PRに躍起だ。
国民の金融資産は1400兆円。政府の景気底入れ宣言も実感がなく、財布のヒモは緩まない。庶民を国債の消化先として開拓したい財務省は、“ニンジン”をぶら下げることも忘れない。
一般の国債が固定金利なのに対し、個人国債は変動金利。「金利はいまドン底にあり、経済情勢を見ながら、いずれ上昇に転じることになる。そうなれば、固定よりも変動金利の方が高い利子をもらえる可能性がある」(外資系アナリスト)
この利子にかかる所得税を非課税にする方向でも検討を進めている。
「国債の利子は、購入先の金融機関が所得税と住民税を合わせて20%を源泉徴収するが、所得税を非課税にしようと画策している。国の本来の収入である税金よりも、国債発行という借金を優先させる摩訶(まか)不思議なことをしてまで、国債を買ってもらおうというわけだ」(同)
大盤振る舞いのセールスについて、金融当局の関係者は「国債を乱発し、軍事費としてジャブジャブとつぎ込んだ戦時中の状況とかなり似ている」と指摘する。
「当時は金融機関に半ば強制的に乱発国債を消化させ、それでも足りずに一般国民にも消化資金を求めた。当時も『利子に対する所得税の低率課税』といった優遇措置がとられ、東京のデパートの上野松坂屋などでも国債が売られた」
当時の戦時国債の発行総額(新規)をみると、昭和12年度に22億円だったものが、14年度には55億円と倍増、さらに16年度には100億円を突破している。
一般国民の懐もアテにせざるを得なくなり、デパートでも国債を売る異常な状況だったのだ。
戦時中の新聞をみると、大手金融機関が「貯蓄(国債)は銃後の弾丸」「一億一心、勤倹貯蓄! 以って戦費の財源たる公債の消化に充てねばならない」といった大広告を載せている。
この点も、紀香起用で大々的にPRする今の状況と似る所以(ゆえん)である。
国債は借り換えも含めて年間130兆円発行され、3月末現在の発行残高は約470兆円。政府と金融機関が各40%、日銀が15%保有して、個人は2.5%(約12兆円)しかない。
なぜ、財務省が個人向け国債に躍起になるのか。日銀出身の大塚耕平参院議員は指摘する。
「国債は主に金融機関が引き受け、機関投資家らに振り分ける形で消化してきた。その手法が限界となり、個人を国債消化の標的にしようというわけ。金融機関はもともと、個人から預かるカネを国債消化の資金にしており、個人の金融資産は間接的に国債に向けられている。これを直接、個人に国債を買ってもらう形にしようとしている」
個人向け国債のキャッチフレーズ『国債っていいかも』について、永田町では、本当は『国民っていいカモ』ではないか−というブラックジョークもささやかれる。
財務省のなりふり構わぬ動きに、さすがの金融庁や金融機関もマユをひそめる。
「今春のペイオフ一部解禁で、金融機関が預金の動向に神経質になっている時に、個人国債を大々的に売り出したらどうなるか。超低金利下でペイオフへの不安が根強く、預金が国債にシフトする可能性もある。預金流出が加速すれば、金融不安の引き金になりかねない」(金融庁関係者)
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは5月、日本国債(円建て)の格付けを2段階引き下げ、ポーランドや南アフリカと同じ「A2」にした。
いまや格付けが日本よりも上位になったイタリアの新聞は、紀香起用を「日本はとうとう、有名女優を駆り出さないと、国債を消化できなくなり始めた」と酷評する。
海外のクールな目をよそに、国は個人国債で庶民の懐に手を伸ばす。
財務省は、インフレで物価が上昇すれば償還時の元本も増える新タイプの国債「インフレ連動国債」も来年度中にも発行する方針である。
大塚議員によると、「財政がまともな国でインフレ連動国債を発行する国はない」という。
折しも、東京都が昨4日、個人向けに初めて発行した都債「東京再生債」を売り出したところ、わずか80分で予定の200億円分を完売した。
利率が0.12%と都銀の3年定期よりも高いことや、慎太郎知事への信頼が人気になった。
株価の一時9000円割れで金融危機が懸念される。対策にお手上げの塩川正十郎財務相が主管である個人向け国債。国の台所の苦しさを象徴するが、さて塩ジイ、都債のように売れまっか?