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「TOPIX(東証株価指数)が、810ラインを割り込むと、公的資金導入銀行にいわゆる“配当問題”が発生することになる。そうした状況から判断して、TOPIX810ラインを割り込んだ段階で、日本の金融システムは、まさに“アウト”という状況になる…」
旧知の金融庁幹部が、まさに“悪夢”とも言うべきシミュレーションを披露してみせる。
これは昨日の当コラムでも取り上げたことだが、前述のコメントにも登場する“配当問題”とは、公的資金導入で資本の増強を図った大手行が、株価の下落によって配当不能に陥り、事実上の国有化状態に追い込まれてしまうことを指す。
なぜ株価下落が、公的資金導入銀行の“国有化”を招くのか。以下で簡単に“国有化”までの流れを追ってみることにする。
株価下落→保有株式に評価損発生→時価会計ルールの摘用により“剰余金”から評価損の6割をカット→配当原資である“剰余金”の枯渇により無配転落→政府保有の優先株に議決権発生→国有化
つまり、TOPIX810ラインを割り込むと、「“剰余金”の枯渇」という事態を招いてしまうことを、本稿冒頭のコメントは意味していると言っていいだろう。
これに対して昨日(4日)の東京株式市場は、TOPIXが84年12月以来となる900割れで取引終了したのである。
TOPIXは、昨日の午後に入って下げ足を速め、午後2時過ぎにバブル経済崩壊後最安値となる、880.57を記録したが、その後若干持ち直し、886.39で引けた(前日比17.85ポイントダウン)。
公的資金導入銀行は言うところの“国有化ライン”まであと76ポイントのところまで追い詰められてしまったのである。
「ここ最近のマーケットの状況からすると、“76ポイント”のリスクバッファーなど1週間もあれば吹き飛んでしまうだろう」(大手証券会社役員)
そして問題なのは、公的資金を導入した大手行を直撃することとなるこうした“国有化リスク”について言えば、そのことを回避するのに有効な手段がないということに他ならない。
「大手行が“国有化リスク”にさらされているからと言って、公的資金を再投入したところで何の意味も持たない。せいぜいできることといえば、法定準備金を取り崩して、剰余金を積み増すことだけだ−」(大手都銀経営中枢幹部)
前述の金融庁幹部が言う。
「法定準備金が取り崩すことができるとはいえ、TOPIX810ラインを割り込めば、一部大手行は確実に“配当不能”という状況に追い込まれる。大手行の一部が崩れることで、金融システム全体が揺らぐことになるのは確実だ−」
そうした意味で、“810ライン”は、日本の金融システムにとって絶対防衛ラインとでも言うべき存在なのだ。
「金融システム危機を回避するためには、PKO(公的資金による株価買い支え)でも何でも発動して、株価を上げていくしか方法がない−」(大手銀幹部)
とはいえ、昨日午前の福田康夫官房長官の発言、「株価下落については、当面見守っていくしかない」に代表されるように、政府サイドの危機感はゼロだ。
果たして、“TOPIX810ライン”は守られるのか。
現状では、悲観的にならざるを得ないのが実情だ。