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「9月金融危機」がカウントダウン−。4日の東京株式市場で、平均株価が一時9000円の大台を割り込んだ。バブル崩壊後の最安値を更新した3日の東京を起点に、アジア、欧州、米国へと連鎖して世界同時株安へと発展。地球を1周しても止まらなかった。大手銀行12行が抱える株式の含み損は4兆5000億円規模に膨らんだとみられ、ほぼ全行が健全性の目安である自己資本比率10%を割り込んだようだ。平均株価9000円は「金融機関が存続できるかのデッドライン」(金融アナリスト)。公的資金の再注入が不可避との声が噴出するものの、小泉政権の危機感はゼロで、もはや危機は避けられない?!
「株安の連鎖はどこで止まるのか」−。世界の市場関係者が注目するなかで幕を開けた4日の東京株式市場は、寄付直後から大手銀行やハイテクなど主力株を中心に売りが殺到。午前中は大台割れ目前で踏みとどまったが、午後に入っても売りはやまず、午後2時ごろ、前日終値比221円84銭安の8995円20銭を付けた。
8000円台は昭和58年8月12日以来、実に19年ぶり。終値ではなんとか、9000円を回復したが、前日に続き、バブル崩壊後の最安値を更新した。
3日の東京を起点に、ロンドン市場は平均株価指数が3.6%下げ、1カ月ぶりの安値で終了。3連休明けのニューヨーク市場は、ダウ平均が今年2番目となる355ドル(4.1%)の下げを記録して、やはり1カ月ぶりの安値に急落。株安はついに地球2周目に突入した。
この日の下げを主導したのは、大手銀行株。UFJが年初来安値を更新したほか、みずほフィナンシャルも安値目前まで売り込まれるなど、軒並み安となった。
日米景気の先行き不安、相次ぐ企業の不祥事、政策への失望など、株価下落の要因がいろいろと解説されているが、その根っこは、銀行株急落が示すように「銀行経営」にある。
民間エコノミストはこう解説する。
「銀行は株価の変動に左右される不安定な経営体質を改善するために、保有している持ち合い株式の売却を進めている。この売り圧力が市場を弱気にし、買い手不在の状況を作り出した。これが株安の一番の要因だ」
「さらに株価下落が銀行経営を直撃する−との金融不安が銀行株の売りを呼び、さらに株価全体の下落を加速させている。銀行は自分で自分の首を締め、負の連鎖のドロ沼状態に陥っている」
その結果、ついに株価は、大手銀行にとって、“耐久限界水準”を突破した。
証券系シンクタンクの大和総研の試算によると、3日の終値ベースで、大手12行すべてが含み損の状態となり、総額は4兆737億円に達した。株価が1万1024円だった今年3月末に比べると、約2兆8000億円も増え、一気に3.2倍に急拡大している。
平均株価が1000円下落すると、大手銀全体で2兆3000億円の含み損が発生すると試算されており、単純計算だと、9000円割れによって、瞬間的に新たに5000億円の含み損が積み上がったことになる。
株安は巨額の不良債権処理に加え、巨額の残高も抱え、財務状況の悪化で体力が疲弊し、「米びつが空っぽに近い状態」の大手銀の経営を根幹から激しく揺さぶる。
時価会計制度のもと、決算期末の株価が「簿価の5割以下」に下落した銘柄については、強制的に評価損を損失処理しなければならない。
含み損の6割相当額を自己資本から差し引くことも義務付けられているためである。
外資系証券の試算だと、すでに住友信託を除く11行の自己資本比率が健全性の目安である「10%」を割り込んだ。
8500円を割り込むと、自己資本比率は国際業務から追放される「8%」を下回るとみられている。「平均株価9000円は日本の大手銀が存続できるかどうかのデッドライン」(金融アナリスト)なのだ。
市場関係者の見方は「もはや、大手銀への公的資金の再注入は避けられない」との見方で一致している。
だが、政府がその準備に入った様子はない。福田康夫官房長官は4日の記者会見で「こういう状況は当面よく見守るしかない。もうちょっと上がった方がいい」と言い、まるで他人事なのだ。
3日には塩川財務相が「売りと買いがある以上、値段は変動するもの」と発言し、大ひんしゅくをかった。危機感ゼロのノーテンキな発言が株価下落を一段と加速させているのが実情なのだ。
19年前は上昇過程だったが。今回は下降局面での8000円台で、日本経済にとっては“未知との遭遇”だ。「一連の負の連鎖が加速し、一気に8000円まで下値水準が切り下がった」(証券アナリスト)との懸念が高まっている。
デッドラインを割り込んだ状態で9月中間決算期末を迎えることになるのか。残された時間はわずかしかない。