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きょうの東京株式市場では、銀行株が売り込まれ、UFJホールディングス<8307>は2月4日につけた年初来安値を更新した。前回のような銀行株安が金融不安説をあおって全体相場が下げる展開ではないだけに危機感は乏しいものの、株価下落による銀行財務悪化への懸念が広がっている。
4大銀行グループが年初来安値をつけたのは、3月決算期末を前にした今年2月。日経平均が9420円85銭の安値をつけた2月6日前後で、くすぶっていた金融不安説をあぶり出す形でヘッジファンドなどが銀行株を売り仕掛け、銀行株が急落したことで株式市場だけでなく日本経済全体が危機感を共有、「銀行株発の3月危機説」(投信)がささやかれた。
その後、カラ売り規制が強化され、こうした売り仕掛けをかけにくくなったことをきっかけに銀行株が急回復、日経平均も急速に戻りに転じた経緯がある。
その後、1)ペイオフに関連して決済性預金の完全保護などが打ち出されペイオフの完全解禁が見送られる方向になったこと、2)金融機関が上場投資信託(ETF)などの手法で持ち合い解消売りへの対策を講じたこと、3)さらに信用取引規制もカラ売りに準じる形で強化されたこと−−などを背景に、その後は銀行株を狙い撃ちする売り仕掛けは入らず、銀行株は比較的落ち着いた値動きを続けてきた。
しかし、きのう、日経平均がバブル後の最安値を更新、これが銀行保有株を直撃したことから、銀行株もきのう、きょうの2日間で大きく株価水準を切り下げた。UFJホールディングスは一時22万8000円まで売られ、2月4日の年初来安値23万3000円を割り込むとともに、UFJホールディングスとして上場して以来の安値である22万5000円に接近した。みずほホールディングス<8305>も、きょうは一時、2月6日の年初来安値19万8000円に迫る20万6000円をつけ、三菱東京フィナンシャル・グループ<8306>は2月6日の年初来安値68万8000円に対して一時70万円ちょうどをつけた。三井住友銀行<8318>は、2月6日の年初来安値406円には間があるものの、一時は502円まで売られている。
前回の安値局面では、銀行株の下げが経済危機説が広がる背景になったが、今回は、米国株の下落や景気の先行き不透明感などでハイテク株などが売られ、これが銀行株の財務懸念に波及した形。
「その意味で、金融不安というわかりやすい危機意識にはつながっておらず、2月の安値局面ほどの危機感はない。しかし、ペイオフ実質先送りや信用取引規制強化などの小手先の対策で銀行株安が封じられてきた裏で、不良債権問題は置き去りにされたままだ。問題は何も解決していない」(準大手証券)との声が聞かれる。
市場では、大手銀行がBIS基準の自己資本比率8%を割り込む水準は、おおむね8000円台なかばとみられており、日経平均が一時9000円を割り込んだことで、自己資本比率維持に向けての懸念も広がっている。