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日経平均、TOPIXの終値がともにバブル後最安値を更新し、株式で含み益を維持している大手生保は現状では一部にとどまる見込みだ。生保経営への影響が懸念される中で、業界内では、既契約の予定利率引き下げの議論が勢いづいてくる、と指摘する声もある。
ある生保業界関係者は、「株価低迷が続けば続くほど、予定利率引き下げの議論を勢いづかせる」と指摘する。予定利率引き下げについては、金融審議会が昨年9月、環境が整っていないことを理由に制度の導入を見送った経緯があるが、金融庁の高木長官は、予定利率引き下げについて、再検討を排除しない姿勢を表明している。一方で、8月26日の政府与党連絡会議では、公明党の冬柴幹事長が、「強制的に料率を下げることも含め、政府として対策を検討してほしい」と述べるなど、応援する声も少なくない。
金融審議会の昨年9月の意見取りまとめでは、予定利率引き下げの前提として、「国民・保険契約者の理解」と「生保のあらゆる経営努力」を挙げた。金融庁は、今年1月には、基金の調達手続きの弾力化やディスクロージャーの充実など、生保問題への対応を打ち出している。
予定利率引き下げをめぐる議論が再燃の兆しをみせる背景には、運用利回りが契約者に保証した利回りを下回る”逆ざや”が解消されない状況がある。また、有価証券全体では含み益を確保している大手生保でも株の含み損が拡大すれば、ソルベンシー・マージン比率の低下につながる。格付投資情報センターのアナリスト、植村信保氏は、3日の株価では、「200%(早期是正措置の発動基準)に近づく状況ではない」という。ただ、このままの株価水準で9月末を迎えた場合、ソルベンシー・マージン比率などの悪化が懸念されるため、生保の上半期報告を通じて、「契約者に与える影響が懸念される」としている。
ただ、予定利率引き下げには障害も少なくない。スタンダード&プアーズの一針留奈氏は、「生保の株価変動リスクが強まっている中で、株価は最大の懸念材料。株価動向は関心をもってみている」とした上で、「S&Pでは、予定利率の引き下げは、実質的な債務不履行との見解を示している。今後の議論については、利率引き下げの条件などに注目しているが、基本的な考え方は変わらない」と話している。