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新生銀行が系列の「ファーストクレジット」を勝手につぶし、悪名高い「瑕疵(かし)担保条項」を使い、国に1000億円強の不良債権買い取りを要求して批判を浴びているが、新たに不穏な動きが浮上している。将来的に買い戻す目的でスポンサー候補に極秘に接触、裏取引を持ちかけている−との疑惑が金融業界でささやかれているのだ。業界から「スリム化したら買い戻すマッチポンプは、骨の髄までしゃぶり尽くすハゲタカ・ファンドと同じ。ドライではすまない」と怒りの声が出ている。
新生銀行は、前身の旧長期信用銀行以来のメーンバンクで筆頭株主だった不動産担保融資大手「ファーストクレジット」について、頭越しに会社更生法を東京地裁に申請し、今年3月に破綻(はたん)させた。
そのうえで、ファーストクレジット向けの債権総額約1260億円のうち、1000億円強を国民の血税で買い取るよう預金保険機構(預保)に求めている。
更生手続き中のファーストクレジットのスポンサー候補として外資を含め十数社程度が名乗りを上げ、現在、第1次入札を終え、4社程度に絞られているという。
年内にもスポンサー企業が選定される予定だが、ここに新生銀が新たに関与する動きが見られるというのである。
匿名を条件に、ある金融関係者が証言する。
「最近、新生銀がスポンサー候補に極秘裏に接近を図っている動きがうかがえる。ささやかれる内容は、『スポンサーに決まった場合、将来的にファーストクレジットを売ってほしい』と裏取引ともとられかねない超ドライなビジネスを持ちかけているという話だ。金融業界の常識では到底、考えられない」
企業を自分の手でつぶし、債権を国に売り飛ばして、時間を置いてひそかに買い戻す…。
企業を骨の髄までしゃぶり尽くすシナリオ。事実なら、倫理的に極めて問題があるというだけでなく、更生手続きをあなどる詐欺的行為だと批判されても仕方がない。
一度つぶした企業を欲しがる理由はあるのか。投資会社幹部は「不動産担保融資は将来的にも魅力のあるビジネスだ。新生銀は以前から、そのノウハウを持つファーストクレジットをどうしてもほしかったのではないか」と指摘する。
それなら、筆頭株主で最大債権者でもあった新生銀が支援すればよいのではとの疑問もわく。
「新生銀としては、瑕疵担保条項の特約期限が切れる来年3月以降にファーストクレジットが破綻するようなことがあれば、数百億円単位で損失を被る恐れもあった。それなら早めに破綻させてしまおう、と考えても不思議ではない」(同)
実は、昨年12月に新生銀がファーストクレジットの会社更生法を東京地裁に申し立てたころから、ハゲタカファンドと組んでいるのではないか、とのうわさが根強くささやかれていた。
ファーストクレジットの管財人は、新生銀の関与を強く警戒しており、新生銀のカラーが少しでもついているスポンサー候補は、徹底的に排除しているという。
このため、表立って行動できない新生銀が、裏取引工作に動いているとのウワサが真実味を帯びてくるのだ。
新生銀が大口融資先企業を破綻に追い込み、法的処理させ、さらに買収を試みるというマッチポンプの手法は、以前から存在した。
平成12年5月に破綻した大手信販会社のライフの場合、新生銀が旧長銀時代の融資の借り換えを拒否し、米ノンバンクのGEキャピタルとの第三者割当増資の交渉が決裂したことが引き金となった。
このGEキャピタルは旧長銀を買収した投資組合に出資しており、いわば新生銀の身内。そして、会社更生法適用後、満を持して新生銀行自身がライフ買い取りに名乗りを上げたのである。
同じ月に破綻した第一ホテルも、実質的に新生銀の経営権を握る米投資会社リップルウッド・ホールディングスがスポンサー候補に浮上した。
両ケースとも露骨なやり口が激しい批判を浴びたこともあり、別の企業がスポンサーとして再建することで決着した。
新生銀はこれまで融資先企業に強硬に貸し剥(はが)しを迫り、メーンバンクから肩代わり融資を引き出してきた。
そごうやマイカルなど融資先企業を次々と破綻に追い込んだうえで、瑕疵担保条項を使って預保に債権を買い取らせてきたが、その期限も「来年2月末」に迫る。
1兆円以上が懐に入り込む最終目標の株式再上場のためにも、不良債権比率を減らす必要がある。ダイエーに債権総額約700億円のうち約500億円の返済を求めるなど、強引な貸し剥がしをさらに加速させている。
新生銀は夕刊フジの取材に対し、スポンサー候補との交渉の有無について、将来的に何らかの形でファーストクレジットの経営に参画する可能性についても、「そのような事実は一切ない」とするコメントを出した。
ある外資系金融機関の幹部は「日本国内だけでなく、世界的な基準で見ても新生銀のやり方は、ひどすぎる。同じ外資とひとくくりにしてほしくない」と憤る。
特約期限まであと半年、何が起こるか予断を許さない。