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田中康夫前知事(46)がダブルスコアで圧勝した長野県知事選。改革への抵抗勢力といえる県議会主流派などに真正面から戦いを挑んだ姿勢が評価されたようだが、対照的に口先で構造改革を吹聴しながら「抵抗勢力も協力勢力になった」と、支持率アップに躍起なのが小泉純一郎首相。米国経済の失速を受け、日本経済の先行きに暗雲が立ち込めるなか、「危険な賭け」である17日の北朝鮮訪問など、政権浮揚のパフォーマンスに、さらに拍車がかかりそうだ。
「私利私欲と無縁の多くの県民の思いが結実したなら、まず心から県民に感謝を申し上げたい。長野県から閉塞(へいそく)した日本という社会を変えていきたい。さらなる改革を続ける新たな一歩の日だ!」
開票作業が始まった直後の1日午後8時過ぎ、テレビに早々と「当選確実」のテロップが流れると、康夫氏は圧倒的勝利をこう宣言した。
これまで改革姿勢について小泉首相と比較され、「僕は首相を『ライオンのたてがみをした森田健作』と思っている。森健的単純な熱血漢。改革は必要だけど、彼の改革案のどこに具体性があるの?」と揶揄(やゆ)してきた康夫氏。
改めて「地方から日本を変える」という大義に燃えたようだ。
現に、永田町では「1日の長野知事選で康夫氏が圧勝し、続く23日の民主党代表選で颯爽(さっそう)とした? 新代表が誕生する。10月27日の衆参6補選で野党統一候補が全勝すれば、国民の多くは『時代は変わりつつある。政権交代も夢ではない』といった気分になる。この3大選挙次第で、小泉政権の存立基盤が揺るぎかねない」(政界事情通)とささやかれていた。
加えて、東証平均株価が相変わらず1万円割れを続け、デフレ脱却の有効な方策もなく、日本経済の先行き不安が政権の足を引っ張る。
実感のない「景気底入れ」宣言の大前提だった米国経済の回復の遅れに加え、GDP(国内総生産)を辛うじて牽引(けんいん)する輸出の伸びも、円高が一時進行するなど、日本経済はほぼ壊滅状態といえる。
来年度当初予算も緊縮型編成という方針が示されているうえ、医療保険や介護保険などの値上げや、所得税・住民税など各種控除の廃止によって、来年度は5兆円前後も国民負担が増える見込みで、国内消費が回復する兆しもない。
「このまま株価が一段と下落すれば、金融不安が再来し、政権支持率は一段と低下する。10月の衆参補選の動向と絡み、政権が重大局面を迎えることも考えられる」(野村総合研究所主席エコノミスト、植草一秀氏)
政権危機を事前に回避する秘策が、道路関係4公団民営化推進委員への作家の猪瀬直樹氏の起用や、来年4月に発足する日本郵政公社の初代総裁への生田正治・商船三井会長の起用である。最大のパフォーマンスが17日の北朝鮮日帰り訪問=金正日総書記との首脳会談といわれている。
首相自身、「シナリオなしの会談。何かが進展する見通しはない。言葉は悪いがイチかバチだ。(北朝鮮に)拉致された人が帰ってくるような、過度の期待をされても困る」というなど、出発前から責任回避とも取れる発言をしている。
ただ、歴史的会談を前に正面切ってケチをつけるわけにはいかない。民主党の鳩山由紀夫代表も「期待感を持つが、外交はパフォーマンスで解決しない」という程度。
首相の後見人を自任する中曽根康弘元首相も1日午前、フジテレビの「報道2001」に出演して、外交の鉄則として「(1)国力以上のことをするな(2)賭けではいけない(3)世界の潮流に乗らないとダメ(4)内政に利用してはいけない」と苦言を呈しながらも、「(訪朝は)思い切ってやるべし」とエールを送ったほど。
やはり、昭和52年、新潟市で中学校から下校途中に拉致されたとみられる横田めぐみさん=当時(13)=や、58年に留学中の欧州から拉致されたとみられる有本恵子さん=同(23)=ら8件11人の拉致被害者が帰国するのは、「国民的悲願」には違いはない。
被害者家族をはじめ国民が「今度こそ」と期待を膨らませる一方、永田町周辺ではキナ臭いウワサ話が広まっている。
「万が一、首相が拉致問題で成果を得られれば政権支持率は爆発的回復を見せるはず。民主党が代表選の余波でゴタゴタしている10月上旬にも解散総選挙に打って出れば、経済低落のカムフラージュになり自民党圧勝も可能だろう。反主流派は完全に沈黙し、小泉長期政権も夢ではなくなる」(自民党関係者)
相反して、こんな見方もある。
「拉致問題で具体的進展がなければ、思い付き外交で多くの国民を惑わせた小泉政権は失速する。『改革教の空念仏師』のお手並み拝見だ」(橋本派議員)
永田町の「秋の陣」から、目が離せない。