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ちょっとは庶民の実感に近づいた? 内閣府が30日発表した今年4−6月期のGDP(国内総生産)速報は、前期比0.5%増、年率換算で1.9%増のプラス成長を記録した。「信頼性ゼロ。景気実態とかけ離れている」と酷評されてきたGDP統計だが、今回から算出方法が大幅に見直され、その成果が注目されていた。4−6月期は相変わらず実感とはほど遠いプラス成長となったが、バブル期並みの高成長を記録した前1−3月期は一転してマイナス成長に下方修正され、日本経済の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった。
GDPの内訳は、約6割を占める個人消費が前期比0.3%の微増。設備投資が同0.5%減、公共事業も同0.7%減となった。プラス成長の最大の要因は輸出で、同5.8%増と高い伸びを記録、外需でGDPを0.3ポイント押し上げた。
前の1−3月期は、前期比で1.3%増、年率換算で5.7%増というバブル経済時代並みの、あっと驚く“高成長”を記録したが、今回の算出方法で見直し改定した数字は前期比で0.0%減、年率換算で0.1%減のマイナス成長に下方修正された。
この結果、2期連続のプラス成長は幻となり、4−6月期は5・四半期ぶりのプラス成長となった。
今回のGDP統計の最大の焦点は、この算出方法の見直し。
「見直しは個人消費が中心。これまでGDPの個人消費は、総務省が毎月実施している家計調査を基に推計していたが、この調査はサンプル数が少なく、月ごとに数字が大きくブレる傾向にある。今回は家計調査に加え、鉱工業出荷などの統計も加味して推計するようにした。お金を支出する家計と、商品を供給する企業サイドの両方から推計し、より実態に近づけようというわけだ」(民間エコノミスト)
前期比1.3%増という高い伸びを記録した1−3月期の個人消費は、同0.5%増に下方修正され、4−6月期の個人消費も微増。「せいぜい底ばい状態」(同)という個人消費の実態に、一歩近づいたようだ。
この結果、1−3月期の高成長が“デタラメ”だったことも露呈。5月の月例経済報告で「景気底入れ」を宣言。7月には「持ち直しの動きがみられる」とした、政府の景気判断の前提が、揺らぎ始めたともいえる。
ニッセイ基礎研究所の櫨浩一・チーフエコノミストは、景気の現状をこう分析する。
「国内景気は極めて緩やかに回復しているが、それはひとえに米国経済の回復に伴う輸出増加のおかげ。米国経済の失速など何か1つショックが加われば、風船のようにしぼんでしまうほどに脆弱だ」
しかも、先行き不安材料は山積だ。櫨氏が続ける。
「頼みの綱である米国経済が明らかに減速しているとの確証はまだない。しかし、米国株の下落に伴う資産目減りで、消費が落ち込む兆候が出ており、先行きは楽観できない。日本国内でも、9月中間決算期末に向け株価が一段と下落し、金融不安が高まる懸念がある。さらに、小泉政権が増税など消費者の負担増路線を打ち出しており、金融不安とあいまって、消費マインドを一段と冷え込ませかねない」
経済指標の信頼性を高めようという努力は前向きに評価できる。ただ、“ノーテンキ”な小泉政権がトンチンカンな景気判断を下し、経済政策のかじ取りを誤ってしまえば、その努力が何の意味もなさないことはいうまでもない。