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☆外為、うわさに市場は右往左往「サウジからソフトバンクまで」
【ＮＱＮ】29日夕刻の東京外国為替市場で円相場は１ドル＝117円台半ばまで上昇している。前日のニューヨーク市場で円安・ドル高が進んだのを受けて朝方は東京市場でも1ドル＝119円07銭まで円が売られたのに、午後に風景は一変した。なぜ急に円高に振れたのか。舞台裏を探ると、いくつかの憶測が参加者の心理を円買いに走らせたようだ。
　最初の観測はソフトバンクが米ヤフー株売却に伴って得たドルを円に替えようとして、３億ドル（約360億円）の円買い・ドル売り注文を入れたいううわさだ。ソフトバンクは13時前にヤフー株の一部（3000万株、２億7000万ドル）を売却したと発表した。売却はかなり前から進めているうえ、前提レートは１ドル＝119円という。状況を考え合わせると前日までにドルの円転は済んでいたと見るのが自然だが、ソフトバンクという名前が市場参加者をその円買いムードにさせた。
　これに続いたのが米国債の償還期日接近で円買い・ドル売りが入ったいう説。８月31日は２年債や５年債など300億ドル前後の米国債の償還期日を迎えるが、８月31日は休日で「国内の生命保険会社などが前もって円買い・ドル売りに動くという思惑を呼んだ」（信託銀行のトレーダー）。日本の投資家のシェアは償還分の１―２割程度で、他の外債に乗り換える分もあるため、円買い・ドル売り需要は実際はかなり小さいとみられるが、米国債と生保と「役者」がそろったことで信ぴょう性が出たようだ。
　前日28日のニューヨーク市場でも「出所不明の情報が原因でドルが買われた」（大和銀行市場営業部の岡部岳朗・上席部長代理）という。サウジアラビアと米国が内々にイラク攻撃を当面見合わせるのに合意したというもの。２年物米国債の入札に際して国内生保が買い出動し、その購入資金としてドルの手当てに動いたというものもあった。
　根拠も出所もはっきりしないうわさが市場を駆けめぐるのは決まって相場に方向感が出なくなった時だが、前日のニューヨークで円を売り、東京で円を買ったディーラーがいたとすれば果たして収支はプラスだったのだろうか。（田中彰一）
クイックより

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