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厚生労働省医療制度改革推進本部(本部長=坂口厚生労働相)の有識者懇談会は28日午前の会合で、9月中にもまとめる医療制度改革に関する報告書の素案を固めた。3200の市町村が個々に運営する自営業者の国民健康保険(地域保険)を都道府県単位に統合し、業務を受け継ぐ新法人を設立する。
また、国が運営する政府管掌健康保険と、大企業の健康保険組合、公務員共済組合の被用者保険についても、運営を一元化する法人を新設する。
高齢化の進展で医療費がかさみ、各保険とも財政が悪化していることから、統合や運営一本化によるコスト削減などで財政の安定化を図るのが狙いだ。同省は報告書を踏まえ、今年度中に抜本改革の基本方針を策定する。
有識者懇は5月から、医療制度の抜本改革のうち〈1〉医療保険制度の体系のあり方〈2〉政管健保の組織形態の見直し〈3〉新しい高齢者医療制度の創設――の検討を進めてきた。メンバーは山崎泰彦・上智大教授や西村周三・京大教授ら5人。
素案では、全国に約5000団体が分立する保険について、給付と負担の公平という観点から、地域保険、被用者保険ごとに統合すべきだとしている。
被用者保険については、〈1〉国が運営する中小企業従業員の政府管掌健康保険を都道府県単位に分割する〈2〉そのうえで、全国に約1700ある大企業の健康保険組合と、公務員共済組合などとともに、運営を一元化する法人を新設する――との案を明記した。
地域保険については、国保の都道府県単位の統合によって、現在最大で4・4倍ある市町村間の1人当たりの医療費格差を2倍以内に抑えられると見ている。
ただ、地域保険と被用者保険では、加入者の所得水準の格差が大きく、疾病リスクの高い高齢者を受け入れている地域保険の方が財政面で被用者保険より苦しいことから、将来的には「年齢構成や所得分布の違いで生じるリスクに着目した調整構造が望ましい」と指摘。
また、70歳以上の高齢者を対象とした現在の老人保健制度を廃止し、2005年度をめどとする新たな高齢者医療制度を創設する方向を打ち出した。
高齢者医療の財源に関しては、2025年度に70歳以上の高齢者医療費が医療費全体の約6割にあたる41兆円に膨らむ見通しにあるため、公費負担の増額を求める意見を念頭に、「税だけで賄うことは現実的には困難だ」とした。
(8月28日15:22)